(英エコノミスト誌 2016年9月3日号)

シリア・アレッポ、反体制派の砲撃で28人死亡 政権側と戦闘激化

シリア北部アレッポのサラヘディン地区の反体制派が支配する地区(2016年7月30日撮影)。(c)AFP/KARAM AL-MASRI〔AFPBB News

ドクター・アサドは「ひざまずくか飢えろ」政策の一環として、シリアの病院を「死の罠」に変えている。

 今年2月の冬らしい朝、シリアのアサド大統領を支援する戦闘機の一群が、シリア北部の野戦病院にミサイルを連射した。医師らは、建物の上に舞い上がる灰色の噴煙に向かって走り、がれきの中から負傷者を引っ張り出すために、コンクリートブロックや倒れた木によじ登った。

 それから40分ほど経ったころ、数機のジェット機(ロシアかシリアの戦闘機だが誰にも分からない)が舞い戻ってきて、作業している医師らに向かって、さらに1発爆弾を落とした。この朝の空爆で、医療関係者8人を含む25人の民間人が死亡した。2011年にシリア内戦が始まって以来、医療従事者に対する1度の空爆としては最悪の攻撃となった。

 ジェット機の一群はそれだけ死者を出しても満足せず、北へ5キロほど行った別の野戦病院に負傷者を運んでいた救急車を追跡。病院の玄関にもう1発ミサイルを撃ち込み、その10分後、さらにもう1発爆弾を落とした。

「彼らがあの日、自分が何をしているのか分からなかったはずがない」。攻撃された2軒目の病院に資金援助していたシリア米国医療協会(SAMS)のアフメド・タラキ氏はこう話す。

 こうした攻撃は戦争において「ダブルトラップ」ないし「トリプルトラップ」攻撃と呼ばれる。学校やパン屋、市場を攻撃するために使われるこの壊滅的な戦術は、シリア政府の空爆作戦で一般的に用いられるようになった。

 この戦術はシリアの病院を「デストラップ(死の罠)」に変えた。戦争が始まって以来、“たる爆弾”や迫撃砲、空爆が265カ所以上の医療施設を襲った。先月は、おそらく戦争開始以来最も壮絶な断続的攻撃が行われ、17時間に1度、病院や野外診療所が爆弾とミサイルに襲われた。

 専門家の見るところ、戦争で、これほど広範かつ組織的に病院と医療関係者が標的にされたことは過去に1度もない。