(英エコノミスト誌 2016年8月27日号)

観光客の食事がマフィア資金源に、伊ローマのレストラン2軒閉鎖

イタリア・ローマで、マフィアの資金源となっているとして当局が閉鎖したレストラン「エル・ファチオラーロ」(2015年3月12日撮影)。(c)AFP/TIZIANA FABI〔AFPBB News

ナポリの犯罪者集団は驚くほどビジネスにたけている。

 盛り上がらないディナーパーティーを手っ取り早く活気づけたいときには、最高の犯罪ドラマシリーズは何だと思うか尋ねて回るという方法がある。米国ボルチモアの裏社会を事細かく描写した「ザ・ワイヤー」か。「ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア」か、それとも「ブレイキング・バッド」だろうか。

 そして今、最高の評価を手にする新たな有力候補が登場した。イタリア・ナポリを本拠地として犯罪帝国を運営するギャング集団「カモッラ」に肉薄した「ゴモラ」というドラマがそれだ。

 ゴモラは2年前の放送開始以来、イタリアで最も話題になっているテレビドラマだ。すでに50カ国に配給されており、8月下旬には米国のサンダンス・テレビで第1話が公開された。

 その内容は、上記の3つのドラマよりもはるかに暗い。登場するギャングはトニー・ソプラノのように魅力的なモンスターではなく、ただのモンスターだ。ほかのドラマより現実的でもある。

 原作を書いたロベルト・サヴィアーノ氏は、カモッラが同氏の殺害を手下に命じた2006年以降、ずっと潜伏生活を続けている。ナポリ近郊での真に迫った撮影は、地元住民の暴力により妨げられた。

 カモッラについて最も印象的なことの1つに、ビジネスに長けていることがあげられる。1990年代半ばにイタリア政府がシチリア島のマフィア「コーザ・ノストラ」を厳しく取り締まったことも手伝って、カモッラは国内最強の犯罪シンジケートの座に上りつめた。

 ドラッグ(特にコカイン)に的を絞る戦略も成功している。カモッラは、ナポリ北東部のセコンディリアーノ地区にある欧州大陸最大の露天麻薬市場など、欧州のドラッグ取引の大半を取り仕切っている。