慈善団体めぐる疑惑再燃=クリントン氏の足かせに-米大統領選

米ネバダ州リノで行われた選挙集会で演説するクリントン前国務長官(2016年8月25日撮影)〔AFPBB News

2016年は「米二大政党制の終焉」の年?

 2016年の米大統領選挙を後世の史家たちはどう論じるのだろう。

 ヒラリー・クリントン前国務長官が大統領に選ばれれば当然、女性初の大統領を誕生させたエポックメーキングな年としてその意義を論ずるだろう。

 建て前では男女同権を謳歌している米国。とは言え、女性が「ガラスの天井」(Glass Ceiling=女性の昇進を拒む目に見えない障壁)を突き破るのは至難の業だった。ましてや、陸海空三軍の最高司令官たる大統領の座を射止めることなどこれまで想像もつかなかった。

 後世の史家がこの新時代を画する出来事を大げさに騒ぎ立てたとしても決しておかしくはない。

 黒人大統領の8年の後、今度は女性大統領がこの多民族・多文化の大国を率いる。「建国の祖」たちが想像だにしなかったことが実際に起こりそうなのである。

 ジョージ・ワシントン初代大統領以来、ジョージ・W・ブッシュ第43代大統領まで続いてきたいわゆる「WASP大統領」(米社会の主流とされるアングロサクソン系白人新教徒の大統領、*ジョン・F・ケネディ第35代大統領はカトリック教徒だが)が途絶えて早8年。

 さらにこれから4年、計12年は「非男性WASP大統領」がホワイトハウスの主になりそうだ。

 史家たちは当然、その理由を説明せねばならないだろう。<米国は名実ともに男女同権国家となった。「人種のるつぼ」はその多様性を確実なものにした>などと御託を並べ立てるのだろうか。

 もう1つ、後世の史家が取り上げねばならないのは「共和党の衰退」についてだ。「米二大政党制の終焉」と説くものも現れるかもしれない。

 ドナルド・トランプ氏は、共和党エスタブリッシュメント(既得権益勢力)の上下両院議員、州知事、さらには大統領経験者や重鎮、党内外の保守主義を標榜する名だたる学者、ジャーナリストから総スカンを食いながらも共和党大統領候補になった。吹き荒れた「トランプ旋風」を史家たちはどうとらえるのか。

 共和党は、これまで民主党と政治理念と政策で論争を繰り返しながら、超大国を動かしてきた「二大政党制」の1つ。トランプ氏に乗っ取られた共和党は今後どうなるのか。どう再生させるのか。2016年は共和党にとっての「終焉の年」になるのか。従来からの米二大政党制にピリオッドを打つのか。