(英エコノミスト誌 2016年8月20日号)

外国人の米住宅購入額、中国が首位に 昨年3兆円

米カリフォルニア州モンテレーパークで、売り出し中の家への行き先を示す標識(2016年4月19日撮影、資料写真)。(c)AFP/FREDERIC J. BROWN〔AFPBB News

米国の住宅金融システムは前回の危機の中心にあった。まだ適切な改革がなされていない。

 世界の金融システムのうち、最も深刻な機能不全に陥っているのは果たしてどの部分だろうか。巨額の不良債権や、国家が支援する縁故主義を特徴とする中国の銀行業界だと言う人もいるかもしれない。あるいは、金融機関が脆弱で政府債務が積み上がっている欧州19ヵ国で流通している、ひび割れをテープで貼り合わせた単一通貨ユーロかもしれない。どちらも心配なことは間違いない。だが、大きさだけで判断するなら、米国の住宅市場に勝るものはない。

 米国の住宅市場の規模は26兆ドルにのぼる*1。米国の株式市場をも上回る、世界最大の資産クラスだ。そしてその下に隠れている住宅ローン債務は、世界で最も大きな金融リスクの塊だ。2006年の夏に米国で住宅価格が下落を始めたときには、その連鎖反応が2008~09年の世界金融危機に至った。

 あれから10年が経過し、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)などから構成される住宅金融システムというモンスターは飼い慣らされたと思われている。だが、このシステムは巨大なうえに国有化されており、利益を生まず自己資本も不十分というのが実情で、世界最大の経済大国にとって、脅威であり続けている。

*1=住宅と、住宅ローン担保証券(MBS)発行残高の合計額

楽観的すぎる当局と銀行経営者

 これほどの危険がほとんど顧みられずにいるのは、住宅市場が一見回復しているからだ。米国の住宅価格は、過去最高の水準に向けてじりじりと上昇している。その結果、所有する不動産の価値よりも住宅ローンの残高の方が大きいという世帯が全体に占める割合が4分の1から10分の1未満に縮小している。

 また、欧州が躊躇している間に、米国は銀行の不良債権整理を済ませている。損失が生じたときにショックを和らげてくれる中核的自己資本(ティア1)は、米銀全体で現在1兆2000億ドルに達しており、2007年当時の2倍以上に増強されている。さらに、米銀はリスクとコストを減らす一方で、それなりの利益を計上するために手数料率を引き上げた。

 銀行の経営陣や規制当局は処分を受けた銀行に言及し、「大きすぎてつぶせない」銀行の問題は解決されたと胸を張っている。彼らに言わせれば、納税者はもう安全だ。