日本の「ミュージシャンズ・ミュージシャン」と呼べる音楽家たちの新作3枚を紹介します(写真はイメージ)

 日本のポップミュージック・シーンには、マスメディアに頻繁に登場するようなメジャーな存在ではないけれど、世界に誇れるユニークで強烈なオリジナリティーを持った音楽を常に作り続け、国内外のコアな音楽ファン、さらには音楽家たちに尊敬と畏敬の念を抱かせる「ミュージシャンズ・ミュージシャン」と言える音楽家たちがいます。

 彼らは、まず自分自身が熱狂的な音楽ファンとして古今東西のあらゆるジャンルの音楽を吸収し続け、コマーシャリズムに迎合しすぎることもなく、また自己満足に陥りがちなアマチュアリズムに行くこともなく、奇跡的なバランスを保ちながら「自分がいま聴きたい」と思う音楽、同時に音楽ファンをも十二分に満足させられる音楽を真摯に追求し続けています。

 今回は、20年以上もの間、作品を発表するたびにフレッシュな驚きと喜びをもたらしてくれている音楽家たちの新作3枚をご紹介したいと思います。

世界のどこにもない独特過ぎる才能とセンス

ASA-CHANG&巡礼「まほう

 ASA-CHANGほど独特過ぎる才能とセンスを持っていて、どれとも全く似ていない強烈なオリジナリティーを示す音楽を創造し続けている音楽家は、世界のどこを見渡してもいないと思います。

 キャリアも彼の音楽と同様にユニークです。1980年代には小泉今日子のヘアスタイリストをしていたり、その後、今や世界を股にかけて活動する東京スカパラダイスオーケストラを結成、リーダーとして活動しますが、しばらくして脱退。以降は人気パーカッショニスト/プロデューサーとして数々のビッグネームや先鋭的なアーティストのレコーディングやライブに参加しつつ、98年にタブラ奏者、プログラミング担当のメンバーとともに「ASA-CHANG&巡礼」(アサチャン・アンド・じゅんれい)というバンドを結成します。