「しあわせ~」パンダ、氷に大喜び

中国・湖北省武漢の動物園で、大きな氷のブロックの上でくつろぐジャイアントパンダ〔AFPBB News

1.対中投資積極化に動く欧米・韓国企業

 昨年11月、アジア太平洋政策に詳しい米国の政府元高官が来日しした際に朝食を共にした。開口一番、「日本の大企業や政府関係者と面談したが、彼らの中国経済に対する見方が極端な悲観論に傾いているのに驚かされた。日本はこれで大丈夫なのか?」

 彼の言葉通り、その懸念が現実のデータとして現れ始めている。

 今年上半期の主要国の対中直接投資額の前年比の伸び率は、米国+50%、ドイツ+90%、英国+169%、韓国+18%、台湾+34%、フランス-41%、日本-14%。日本とフランス以外の主要国の対中投資額が大幅な伸びを示している。

 ただし、フランスは昨年が前年に比べて72%も急拡大したため、今年はその反動が出ただけで、一昨年に比べれば若干増加している。2014年以降減少し続けているのは日本だけであり、その下落幅も大きい(図表1参照)。

図表1 主要国の対中直接投資額の推移(単位 億ドル)(注)2016年のデータは上半期の前年比を基に年率換算して算出。(資料 CEIC)

 この統計データは実際の投資動向に比べて1年ほど遅れで動くことが知られている。したがって、欧米主要国等の対中投資姿勢が積極化し始めたのも今年からではなく、2、3年前からである。

 この点について日本および外資企業の投資動向を詳しく把握している専門家に確認したところ、それは中国現地で感じられる実感どおりであるとの答えが返ってきた。欧米企業の姿勢の変化はリーマンショック後の世界経済不況から欧米諸国が徐々に回復に向かい始めた時期とも符合している。

 これに対して、日本の対中投資は統計上2014年から急落しているが、実際に急落したのは尖閣諸島領有権問題発生直後の2013年以降である。

 昨年4月の日中首脳会談以降、日中関係は徐々に改善には向かっているものの、南シナ海問題や尖閣諸島周辺海域での中国公船の航行増加など新たな摩擦の火種もあり、その改善テンポは遅く、日中関係の先行きに対する不透明感が払拭できていない。このため、日本人全体の対中感情の改善も鈍い。

 そうした状況が日本企業の対中投資姿勢にも影響しており、依然として日本からの直接投資のほとんどが既存進出企業の再投資の拡大であり、新規投資は殆ど見られていない。

 再投資についても日本企業は総じて慎重姿勢を崩していないため力強さを欠いており、2、3年前から積極姿勢に転じている欧米企業との違いが明確になってきている。