(英エコノミスト誌 2016年8月6日号)

労働組合、原発建設の最終決定遅らせた政府を批判 英国

イングランド南西部のヒンクリーポイント原発に新設予定の原子炉2基の完成イメージ。EDFエナジー提供(2016年7月28日提供)。(c)AFP/EDF ENERGY 〔AFPBB News

英国は金食い虫の原発をキャンセルし、浮いた資金を再生可能エネルギーの活用に投じるべきだ。

 中国の習近平国家主席が昨年訪英し、バッキンガム宮殿の晩餐会に出席して始まった英中協力の「黄金の10年」は、9カ月しか続かなかったようだ。両国の新しいパートナーシップの目玉は、イングランド南西部のヒンクリーポイントでフランス企業が建設する原子力発電所に中国が60億ポンド(約80億ドル)を出資する案件だった。その後には中国の企業がイングランド南東部で原発を作ることになっていた。ところが、このプロジェクトが最終承認されることになっていた7月28日、英国の新政権は不気味にも、この案件はまだ検討中だと発表した。

 英国側がプロジェクトにブレーキを踏んだことで、中国との黄金時代には傷がついてしまった。中国国有の通信社は、英国の「不審なアプローチ」に不快感をあらわにした。また、フランスが難色を示す恐れもある。そうなれば、英国の欧州連合(EU)離脱問題が複雑化することもあり得るだろう。さらに言えば、英国は新しいエネルギー源を渇望している。

 だがそれでも、この取引をご破算にするのは正しい決断だろう。中国についての安全保障上の懸念(これは恐らく大げさだ)とは関係なく、ヒンクリーの計画はその費用に見合う価値が本当にないように見えるからだ。

 また、再生可能なエネルギー源の魅力が増していることから、ヒンクリーのような大型の「ベースロード」電源開発プロジェクトの時代は、もう長くない。英国はこの取引から撤退し、ほかの国々はこの失敗から教訓を学ぶべきだ。

余波

 ヒンクリー原発を建設するフランス電力公社(EDF)は、同様な原子炉の建設工事をフランスとフィンランドで進めているが、どちらも設計に問題があるために工事が遅れ、費用も予算を超過している。それにもかかわらず、英国政府はヒンクリーの発電量1メガワット時あたり約92.50ポンドを35年間支払う約束をしている。

 これは今日の電力の卸売価格(40ポンド前後)より高く、ヒンクリーが稼働し始める予定の2025年にはさらに割高になっているかもしれない。この約束の期限が切れる35年後には、現実離れした水準とみなされる恐れもある。