あなたが向かうのは起業? それとも大企業? (写真はイメージ)

 大学生から「就活をして就職するなんてバカバカしいと思うのですが、起業をした方が良いのではないでしょうか」と相談を受けることがあります。もちろんケースバイケースではありますが、結果として私はほとんどのケースで「就職した方が良い、それも大企業に」と答えます。それは、なぜでしょうか。

1. 起業をするためには、お金を貯めるべきだから

 あえてこれを一番に持ってきますが、学生がこういう相談をしてくる場合、「資金はばっちりです、1000万円貯めました」というケースはほぼ、ありません。「お金はありませんが、情熱はあります」というのが普通です。クラウドファンディングやエンジェル投資家を探して、ベンチャーキャピタルからも引っ張ります、と。

 確かに、家族も養っていない若者が自宅の一室で起業するなら、インターネットをうまく使えばお金のかからない起業の仕方はあります。しかし、それでも300万円くらいは自分で準備してから挑むべきです。最初から人のお金を当てにしてはだめです。300万円も貯められない人を信用して、お金を出してくれる人はいませんから。

 アルバイトをしまくって300万円を貯めた、というなら、このハードルはクリアです。親が出してくれる、というのだと甘えが感じられるので微妙ですが、それでもダメだというのは私のひがみかもしれないので、一応クリアとしましょう。既に投資家を見つけているというのなら、圧倒的に合格点です。才能がありますよね。

2. 戦う相手のことを知らないといけないから

 いろんな意味で、この世の中は大企業を中心に回っています。大企業は圧倒的な資金力と優秀な人材を多数抱え、緻密な仕組みを有し、社会に対するとても大きな影響力を持っています。1割未満の大企業が世の中の9割以上を動かしていると言っても、全く過言ではないでしょう。陰謀論とかそういうことではなく、構造としてです。