(英エコノミスト誌 2016年7月30日号)

仲裁裁判判決の順守を=安倍首相、比外相と一致

モンゴルの首都ウランバートルで開催のアジア欧州会議首脳会議に出席する安倍晋三首相(2016年7月16日撮影)。(c)AFP/WU HONG〔AFPBB News

日本の経済実験が世界に教えられること

 日本は1980年代に活力ある経済の事例として詳しく研究された。その後の数十年は、主に経済の低迷ぶりで世界の耳目を集めてきた。物価の下落が続いたり、時々思い出したように経済成長を遂げたりした結果、2015年の名目国内総生産(GDP)はその20年前とほぼ同じ水準にとどまっている。同じ時期に米国は名目GDPを134%伸ばし、あのイタリアでさえ3分の2も増やしているのに、だ。そして今、日本は経済再生の試みという、これまでとは異なる理由でスポットライトを浴びている。

 2012年12月から首相を務める安倍晋三氏は、日本経済の成長と改革を進めるために、アベノミクスとして知られる「3本の矢」を提唱した。これは金融政策による景気の刺激、財政の「柔軟性」、そして構造改革という3本立てのパッケージで、第1の矢で日本の生産力を動員し、第3の矢でその力を拡張することにより、第2の矢が野心的な財政目標という的を射抜けるようにするという目論見だった。

 世間では、矢は一本も的に当たっていないとの見方が支配的だ。確かに、今年5月の消費者物価指数(総合)の上昇率は前年同月比でマイナスだった。公的債務の残高は相変わらずひどい水準に見える。労働市場改革などの分野では、多少なりとも及第点に近いものは1つもない。

 最初に広げた大風呂敷に比べれば、確かにアベノミクスは失望でしかない。しかし、それ以前に行われていた政策と比べるなら、好意的に耳を傾ける価値はある。またほかの国々、とりわけ欧州の国々が人口の高齢化、需要の伸び悩み、なかなか減らない債務などにいかに対処すべきかという指針として、日本は再び刮目に値する存在になっている。

第1の矢の効果と限界

 金融政策から見ていこう。多くの人がアベノミクスからすぐに引き出す教訓と言えば、日銀が――ひいてはほかの中央銀行も――金融危機以降利用している武器は役に立たないというものだ。

 日銀は2013年4月以降にバランスシートを2倍以上に膨らませ、今年2月にはマイナス金利も導入した。おまけに、金融をさらに緩和する可能性も浮上している(エコノミスト誌が印刷に回るころ、日銀は金融政策決定会合を開催することになっていた*1)。しかし、年2%というインフレ目標はまだ夢の夢でしかない。

*1=日銀は7月29日、追加金融緩和を発表した。