内戦のシリアに涙目のピカチュウ、ポケモン合成画像で窮状を訴え

レバノンの首都ベイルートで、シリア人アーティストが作成した合成画像を見ているジャーナリスト(2016年7月22日撮影)〔AFPBB News

 いま仮に、シリアでポケモンGOで遊んでいた子供がいたとします。あるいはガザでも中東のどこでも構いません。

 彼あるいは彼女が、探しあぐねていたポケモンやアイテム、「ピカチュウ」でも「ポッポ」でも「しあわせタマゴ」でも何でもいいんですが、それをようやく見つけ、喜び勇んで「ピカチュウ」の元に走り寄ったとして、仮にそこが地雷野だったら、いったい何が起きるのか?

 AR(オーグメンテッド・リアリティ)のELSI=倫理的、法的、社会的問題を、上のようなリアルなリスク状況から検討するのは、重要な意味あることだと思います。紛争地の地雷野でなく、日本国内にも、いくらでも子供が近づくべきでない危険な場所はあるわけですから。

ネットワーク・デジタル地図と所有物

 まず初めに日本の、あるいは国際的に見てでもいいのですが、現行法規のありようを、身近な形で追体験してみましょう。

 以下の話、もしピンと来ない人が居られたら、だまされたと思ってGoogleにアクセスしてご自分の住所を入力して検索してみてください。

 多くのケースで、一番上に「地図」が検索結果として表示されることでしょう。

 ここでさらに、上に表示されたラジオボタンの中で「地図」をクリックすると、あなたのお家が地図上で克明に表示されるはずです。

 地図だから当たり前と言えば当たり前ですが、ここから先が問題です。

 これから「ネットワーク地図に関係づけられた情報」というものを考えてみましょう。

 グーグルの地図には「Earth」という文字とともに小さな写真が記された窓が表示されているかと思います。ここをクリックすると・・・。多くの方はご存じのように、いま表示されていた地図が航空写真で表示されます。グーグル・アース(Google Earth)ですね。

 このサービスをよく考えてみたいのです。これは「写真」であって「地図そのもの」では実はありません。こういうものを「デジタル地図に関係づけられた情報」と呼ぶことができます。

 さらにグーグル・アースにはストリートビューという機能がついている。

 ここに進んで、もしあなたの家の目の前まで進むことができたら(できる場合とできない場合があります)、つまりこれはグーグルという企業がデジタル地図上であなたの所有物に関する情報を不特定多数に対して公開している、ということになります。