(英エコノミスト誌 2016年7月23日号)

米共和党、トランプ氏を大統領候補に正式指名 「大変な栄誉」

米オハイオ州クリーブランドで開催中の共和党大会で演壇に立つドナルド・トランプ氏(2016年7月18日撮影)。(c)AFP/Robyn BECK〔AFPBB News

混乱と憎悪が渦巻く中で、ドナルド・トランプ氏が共和党の大統領候補に正式指名された。

 7月18日から21日までオハイオ州クリーブランドで開催された共和党全国大会の準備が進められていたとき、ドナルド・トランプ氏は2012年の前回大会が「自分の見た中で最も退屈な大会だった」と嘆いた。そこで、大統領候補に指名される見込みになった同氏は、進行に「ショービジネスの要素を少し」入れるなどしてあの退屈さが繰り返されるのを避けようとした。

 党大会の最初の3日間を見る限り、トランプ氏は勝利を収めた。自分を称賛してもらおうと引っ張り出したのがリアリティー番組「ダック・ダイナスティ」のスター、プロゴルファー、格闘技の興行主など三流のセレブだったにもかかわらず、この大会は過去数十年の米国史で最も不思議な、そして注目しないわけにはいかない政治イベントの1つになったのだから。

 クイッケン・ローンズ・アリーナでの大会の進行は、困惑してしまうほどくだらない話(これにはセレブたちが貢献した)、議事の混乱、そしてトランプ氏を指名するために集まった2500人近い代議員同士の口論に満ちていた。予定通りに進んだものはほとんどなかった。

 エンターテインメントを除けば、トランプ氏にはこの大会でやらねばならないことが3つあった。分裂した党に一定の連帯感を植え付けること、大統領にふさわしい人物だという印象を与えること(これについては、米国人の60%近くが疑っている)、もっと好感の持てる人物であるように見せること(特に、共和党支持者の3分の1を占める、同氏を嫌っている有権者たちに)の3点だ。この基準に照らせば、今回の党大会は完全に失敗だったように思われる。

 ポピュリスト(大衆迎合主義者)のトランプ氏が共和党を乗っ取ったことが党を分裂させた度合いを誇張するのは難しい。まず、過去2回の選挙で正大統領候補になったジョン・マケイン氏とミット・ロムニー氏はクリーブランドに来ることを拒んだ。大統領経験者であるジョージ・ブッシュ親子、その次男(次弟)のジェブ・ブッシュ氏も同様だ。ジェブ氏は今回、トランプ氏と争った予備選で不面目な敗北を喫し、本選挙ではリバタリアン党への投票を検討中だと話している。