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北海道むかわ町の穂別博物館。ハドロサウルス科の新種と思われる恐竜の化石の発掘・調査を北海道大学と共同で進めている(出所:Wikimedia Commons)

(文:村上 浩)

ザ・パーフェクト―日本初の恐竜全身骨格発掘記: ハドロサウルス発見から進化の謎まで
作者:土屋 健
出版社:誠文堂新光社
発売日:2016-07-04

 北海道むかわ町穂別で日本古生物学史上最大級の発見があったのは2003年4月。それから10年以上が経過した2013年7月17日、日本初の恐竜全身骨格発見が北海道大学のプレスリリースで世間に伝えられた。

 誰がどのようにしてこの化石を発見したのか、公表までの10年間研究者たちは何をしていたのか、このハドロサウルス科の新種と思われる恐竜は7000万年以上前どのように日本にたどり着いたのか。本書『ザ・パーフェクト―日本初の恐竜全身骨格発掘記: ハドロサウルス発見から進化の謎まで』は世紀の発掘に携わった様々な人にフォーカスを当て、それぞれの視点から発掘の過程をドラマ仕立てで伝えてくれる。

 化石の謎が少しずつ解き明かされていくエキサイティングな展開に、最後には全身骨格が発見されるのだと分かっていても、ページをめくる度に鼓動が高なっていく。

 そもそも恐竜とは何なのかということから丁寧に解説されており、サイエンス本を敬遠している人でも楽しめる。また、科学者、博物館職員、大学院生、イラストレーター等がそれぞれの持ち場でサイエンスに向き合う姿が具体的に解説され、各人のキャリア変遷も言及されているので、サイエンスの道を志す者には大いに参考になるだろう。