米スタンフォード大学の性的暴行事件、軽い量刑に非難続出

米スタンフォード大学のロゴ(2015年2月13日撮影、資料写真)。(c)AFP/NICHOLAS KAMM〔AFPBB News

 アメリカでは性的暴行事件が2分に1回発生し、年間28万人の被害者が出ている。これほど多くの事件がおきる背景には、「暴行してもつかまらない」という戦慄すべき実態がある。

 こうした事件では、取り調べや裁判の過程で被害者の心の傷が深まる「セカンドレイプ」や、加害者からの報復を恐れて被害者が口をつぐむケースが多い。性暴力の防止活動をする団体RAINNは、加害者のうち警察に通報されるのは34%、逮捕されるのは6.3%、実刑判決をうけて刑務所に入るのは0.6%にすぎないと推計している。

 レイプ犯100人のうち投獄されるのは1人に満たないのだとすれば、この国では性犯罪者が野放しになっていると言っても過言ではないだろう。

全米に波紋を広げた名門大学のレイプ事件

 事件は2015年1月、カリフォルニア州の名門スタンフォード大学のキャンパスで起きた。1年生のブロック・ターナー(当時19歳)が、学生寮でおこなわれたパーティーで泥酔した女性(当時22歳)を屋外へ連れ出し、大型ごみ箱の陰でレイプした。

 2人の大学院生が現場を通りかかり、被害者に覆いかぶさっているブロック・ターナーを取り押さえたとき、被害者は完全に意識を失っていた。2016年3月に開かれた法廷では、陪審員による全員一致の評決でターナーの有罪が確定した。

 6月、この裁判で被害者が読み上げた異例の陳述書が全米に波紋を広げ、それに反応した女性たちが強い怒りの声をあげ、ついには法治国家の根幹をめぐる議論が巻き起こった。