(英エコノミスト誌 2016年7月9日号)

在日米軍撤退論は「支離滅裂」=トランプ氏批判-米民主政策綱領

共和党の指名が確定した実業家ドナルド・トランプ氏(2016年7月1日撮影、資料写真)(c)AFP/Jason Connolly〔AFPBB News

ドナルド・トランプのことになると、米国の企業経営者は割れる。

 米国の多国籍企業の経営者と言えば、自制心を絵に描いたような人で、心のこもった握手や大人らしい髪型、よく練られた短いコメントといった特徴を備えているのが普通だ。しかし、選挙についてどう思うかと尋ねると、彼らの自制心は感情に負けてしまう。

 マンハッタンで開かれたカクテルパーティーに参加した某メガバンクの経営者は、ドナルド・トランプは頭がおかしいとまくし立てた。米国有数のハイテク企業のトップで、シリコンバレーでは珍しい共和党支持者の某氏は、オフィスの机を拳でたたき、絶対にヒラリー・クリントンに投票すると重々しく誓った。ある大手輸送会社の最高経営責任者は、もしトランプが大統領になったら自由貿易が破壊される、そうなれば今伸びているうちのメキシコとの事業も水の泡だ、と引きつった笑いを見せた。

 軽蔑する気持ちはお互いさまだ。トランプ氏は6月29日、大企業お気に入りのロビー団体である商工会議所に食って掛かった。「あそこは特殊利益集団に完全に牛耳られている」。同氏はメーン州での集会で大声援に応えてそう語った。

 米国は勝負に勝てなくなったとトランプ氏は評しているが、国際的な大企業の幹部の見方は違う。彼らにしてみれば、この10年間は黄金時代だ。株価は史上最高値に近い水準にある。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)500種株価指数を構成する企業の営業利益は、危機の年だった2009年以降で137%も伸びている。

 米国の中間層に打撃を与えたトレンドの多くは、「米国株式会社」を強くした。大企業は雇用を減らして生産性を高め、今では売上高の40%を外国で計上している。また、企業買収を繰り返したり巧みなロビイングを展開したりした結果、国内市場でのシェアも高めている。

 税負担が重いとぼやきながらも、節税が非常にうまくなった。大企業上位50社が2015年に計上した全世界ベースの利益で見たキャッシュ・タックス・レート*1は24%で、公式の法人税率39%を下回る。大手銀行でさえ規制の増加と共存する術を学んでおり、最近は世界各地で欧州の銀行を蹴散らしている。

*1=法人税前利益に対する、実際に支払った税金の比率