(英フィナンシャル・タイムズ紙 2016年7月8日付)

EU離脱に抗議のデモ行進、4万人以上が参加 英ロンドン

英ロンドン中心部で行われた英国のEU離脱(ブレグジット)に抗議するデモ行進で、親EUのプラカードを掲げる参加者たち(2016年7月2日撮影)(c)AFP/Niklas HALLE'N〔AFPBB News

 国民は声を発した。しかし、果たして何と言ったのだろうか。なるほど、6月23日に行われた意見を聞くための国民投票では、過半数をわずかに超える国民が残留よりも離脱の方がいいと言った。ただ、残留がどういうことかは比較的はっきりしていたものの、離脱の方はそうではなかった。それどころか、離脱という可能性を定義するのは複雑で論争を呼ぶ作業だ。

 実は、離脱という選択肢には複数のバージョンが隠されている。そしてどのバージョンも、残留という選択肢に匹敵する支持は得られそうにない。その結果、離脱という決断を実行に移せば(今それが実際に試みられているのであれば)、残留した場合よりもはるかに多くの人々が不満を感じることは、ほぼ確実だ。

 多くの残留派が今、不満を覚えているだけではない。離脱派の多くも、まもなく不満を抱くことになる。国民投票は不満の終わりではない。さらに大きな、そしてもっと多くの人々の間に広がる不満の始まりなのだ。

 離脱派の人々は、かなり異なる3種類のカテゴリーに分けられるように思う。縛りのない自由な市場を望む人、主権を取り戻したい人、そして移民の流入にストップをかけたい人の3種類だ。2番目と3番目には、これまで労働党に投票してきた人が多い。彼らが毛嫌いするのは、保守党が恐らくこれから繰り出しそうな対応、すなわち資本への課税の軽減と、英国の資産や労働力のたたき売りだろう。

 ジョージ・オズボーン財務相のアドバイザーを以前務めたルパート・ハリソン氏は、自分にとって理想的な選択肢は「欧州経済地域マイナス(EEA-)」だと表現したことがある。同氏が的確に指摘しているように、ブレグジット(英国のEU離脱)が経済にどんな結果をもたらすかは、EUと新たに交わす取り決めの性質に左右される。

 しかし、離脱派の多くが望んでいるように、もし英国が移民の流入を何らかの形でコントロールすると決心したら、EUのほかの国々は、英国が単一市場へのフルアクセスを維持することを認めないだろう。問題は、このアクセスがどの程度失われるかだ。

 ハリソン氏が論じているように、「移民を少しばかりコントロールできるようになる代わりにあきらめなければならないことの細部にこそ、思わぬ落とし穴が潜むことになる。特に、金融サービスの単一市場にとって、これが何を意味するかが重要だ」。

 では、そのような交渉でもたらされる可能性がある結果を1つ想像してみよう。まず、移民をいくらかコントロールできるが、単一市場へのアクセスの条件は現在のそれとさほど変わらないという場合はどうなるか。