(英エコノミスト誌 2016年7日2日号)

習主席「敏感な問題管理を」=米中戦略・経済対話が開幕-北京

中国・北京で開幕した米中戦略・経済対話で演説する習近平国家主席(2016年6月6日撮影)。(c)AFP/SAUL LOEB〔AFPBB News

中国の外交政策は世界経済の大きな部分を変える力を秘めている。

 かつて中国の商人を中央アジアや中東、アフリカ、さらには欧州の商人と結びつけた巨大な交易ネットワークのシルクロードは、戦乱のために利用できない時代が数百年間続いた後、紀元7世紀になって最初の復活を遂げた。

 中国の習近平国家主席は、この時期が「パックス・シニカ(中国の支配下での平和)」の黄金時代だったと考えている。当時は、中国製の高級品を欲しがる人が世界各地におり、シルクロードは外交面や経済面で勢力を拡大するための通り道になっていた。

 シルクロードという名称自体は19世紀にドイツの地理学者が考案したものだが、中国はこれを大喜びで受け入れた。習氏はこのシルクロードと、それに付随していた栄光を復活させたいと考えている。

 現代のシルクロードを行き交うのは、幌馬車やラクダではなくクレーンと建設作業員だ。今年4月には中国の海運会社、中国遠洋海運集団(COSCO)がギリシャで2番目の大きさを誇るピレウス港の権益を67%取得した。このピレウスからはハンガリーに至る高速鉄道網がほかの中国企業数社によって建設中で、ゆくゆくはドイツとも結ばれる。

 パキスタンでは、中国が設計した原子炉の建設工事が7月から第3段階に入る。パキスタンについては、中国が大規模な高速道路の建設資金を提供したり、タール砂漠の炭坑に20億ドルを投じたりする計画を先日発表したばかりだ。実際、中国が今年の1月から5月にかけて外国と交わした契約のうち、半分以上はシルクロード沿いの国々がその相手になっている。中国の近代史においては初めてのことだ。

 建設作業員の背後では、政治家たちが負けないぐらい忙しく働いている。習主席は6月にセルビアとポーランドを訪問し、数々のプロジェクトをばらまいてからウズベキスタンに飛んだ。6月末にはロシアのウラジーミル・プーチン大統領が北京に立ち寄り、習氏とモンゴル大統領との3人で、それぞれの国のインフラ整備計画を新シルクロードにリンクさせることを約束した。またこの時には60カ国近くの財務相が北京に集まり、こうしたプロジェクトに資金を融通すべく設立されたアジアインフラ投資銀行(AIIB)の第1回年次総会を開いていた。大きな音をたてながら駅を出ていく蒸気機関車のように、中国最大の外交経済政策はゆっくりと勢いをつけつつある。