(英エコノミスト誌 2016年7月2日号)

英EU離脱派の急先鋒、ファラージ氏がUKIP党首辞任

英ロンドンでの会見で、英国独立党(UKIP)の党首辞任を発表するナイジェル・ファラージ氏(2016年7月4日撮影)。(c)AFP/Ben STANSALL〔AFPBB News

分裂状態でリーダーもいない英国が初めて味わう「欧州離れ」の現実

 欧州連合(EU)からの離脱を訴えたキャンペーンは、英国に何度も「支配権を取り戻そう」と呼びかけた。有権者が僅差で離脱を選んだあの投票から1週間、英国がこれほど大きく脱線しているように見えたことはめったにない。

 首相は辞任の意向を表明し、野党のリーダーは党内のクーデターを乗り切ろうと奮闘している。英ポンドは対ドルで31年ぶりの安値を記録した。銀行の時価総額は、持ち直すまでに一時3分の1も減った。一方、スコットランドと北アイルランドが英国から離脱するという話も出ている。

 こうした災いはいずれも、EU離脱派が勝った場合に起こると予想されていたが、この国はまだ、自ら招いた現実を前に呆然と立ち尽くしているように見える。

 もう目を覚まさなければならない。英国は新しい指導者、EUとの交渉に向けての一貫性のあるアプローチ、そして残留票の方が多かったスコットランドや北アイルランドとの公正な和解の3つを必要としている。

 この国の繁栄と世界における立ち位置は、すでに深刻なダメージを負ってしまった。自国の将来の「支配権を取り戻す」ことに今度失敗すれば、このダメージはさらにひどくなる。

どこでもない場所の病人

 英国のEU離脱が決まった直後の不愉快な1週間、そしてこれからやって来る惨めな将来は、すでに多くの人々を後悔させている。国民投票のやり直しを求める請願に署名した人の数は400万人を超えた。

 今回の結果をすぐに拒絶するのは、さすがに間違っている。離脱に賛成したことを悔やんでいるとはいえ、3400万人もの国民が投票所に足を運び、その結果ははっきりしていた。すぐに再投票を行うのは、サッカーのイングランド代表に、国民投票の1週間後に英国に2つ目の屈辱を味わわせたアイスランドとの再試合を認めるのと同じくらいフェアでない。

 それでも、英国の運命はまだかなり不確実だ。国民がEU離脱を選択したとはいえ、ブレグジット(英国のEU離脱)のパターンは57種類もある。最も穏当なのはノルウェーのようなパターンだろう。EU諸国からの人の自由な移動を受け入れ、EUの分担金も支払う代わりに、「単一市場」へのアクセスを維持するというやり方だ。