(英エコノミスト誌 2016年6月25日号)

スペイン総選挙、与党が議席増も過半数割れ 反EU政党は伸び悩み

スペイン・マドリードで総選挙の公式開票結果の発表後に開いた会見でこぶしを突き上げる左派新党「ポデモス」のパブロ・イグレシアス党首(中央)。(c)AFP/GERARD JULIEN〔AFPBB News

欧州は礼儀をわきまえた政治討論の美徳を再発見しなければならない。

「コメントは絶対に読むな」というのは、有益なアドバイスだ。オンライン配信された新聞・雑誌記事の下方に書き込まれていくコメントが、ソクラテス学徒の真実探求の対話に似ることはめったにない。たいていは、意見の異なる人々がそれぞれの主張を展開し、複雑な政治のディベートが侮辱と皮肉の応酬に堕してしまう。

 これを無視するのは簡単だ。しかし、現実の世界がコメント欄に似た様相を見せ始めたときには、どうすればいいのだろうか。

 例えば米国では二極化という現象が政治を蝕み、法案の審議を滞らせ、ドナルド・トランプ氏を世に送り出した。欧州では対照的に、複数政党制、コンセンサス(合意)形成の伝統、そして戦争の記憶といったものが二極化を抑える方向に長らく作用してきた。だが、ここでも空気がよどみ始めている。

 最近流行の国民投票から話を始めよう。これは本質的に有権者を、対立するグループに分かれることを強いる制度だ。英国の欧州連合(EU)離脱を求める陣営の運動は、不機嫌そうに語られるこじつけと誇張のオンパレードだった。投票の1週間前にEU残留派のジョー・コックス下院議員が惨殺されても、多くの熱心な運動員たちは悪口をトーンダウンしなかった。

 1年前にギリシャが自国の救済案について突拍子もない国民投票を行ったときには、親欧州のエリートたちと国民の過半数が衝突することになり、圧倒的に大きかった「Oxi(ノーの意)」という声はすぐにほかのユーロ圏諸国から無視された。