中国の万里の長城。世界の人々は中国のことをどう見ているのか?(写真はイメージ)

 日本人の対中嫌悪は非常に高まっており、しばしば日本では「中国は世界から孤立している」との議論も展開される。だが、各種の世論調査を見ると、必ずしもそうとは言い切れないのである。

 例えば、6月12日付ブルームバーグは「中国は欧州でソフトパワーを確立している」という記事を掲載し、欧州における親中感情が高まる一方で米国が没落するとの見方が広まっているという調査結果を紹介した。

 まず、その記事の要旨を紹介しよう。

欧州で高まる中国の存在感と影響力

 国際的に著名な米国の世論調査機関「ピュー・リサーチ・センター」の2015年6月の調査によれば、主要な欧州諸国の大多数の人が「中国が米国に代わって世界の超大国としての立場を獲得しつつある、もしくは既にそうなっている」と認識していることが明らかになった。特にドイツとフランスでは多くの人が、米国よりもむしろ中国が世界経済を先頭に立って牽引している存在だと考えている。

 無論、エリザベス女王は「中国政府は非常に失礼な連中だ」と思っている。しかし、バッキンガム宮殿を一歩出れば、中国は影響力と友人を多く獲得しているのである。

 この調査が行われたのは中国経済が減速する前だったが、それは影響を与えないだろう。なぜなら、今や欧州諸国では中国製品が店頭を席巻しているからである。

 欧州の人々の認識が以前とは変化してきた第1の原因は、欧州を訪れる中国人観光客の数がこの4年で倍増したからである。旅行者たちの半数は若い世代であるが、彼らは欧州の若者と価値観を共有している。彼らは自由(筆者注:この場合の「自由」が“liberty”ではなく“freedom”であることに留意)を愛し、享楽的で、愛される存在である。