(英エコノミスト誌 2016年6月18日号)

アフガン経験の元米海兵隊員、米ゲイクラブ乱射で大勢の命救う

米フロリダ州オーランドの舞台芸術会場「ドクター・フィリップス・センター」前に設けられた、ゲイ・ナイトクラブでの乱射事件の犠牲者を追悼する献花台(2016年6月14日撮影)。(c)AFP/Brendan Smialowski〔AFPBB News

大量虐殺から学ぶべき真の教訓

 オマル・マティーン容疑者は6月12日、米国フロリダ州オーランドの同性愛者向けナイトクラブで49人を殺害した。これは米国現代史上最も犠牲者の多い銃撃事件なのか、米国の同性愛者に対する史上最悪の攻撃なのか、それともイスラム主義者による「9・11」以降最悪のテロなのか?

 政治が二極化しているこの国では、国民はこの3つの中から解釈を選ぶことを迫られる。左派にとってマティーン容疑者の大量殺人は、銃を容易に入手できる問題と同性愛者が嫌われる問題に注目が集まる事件となる。右派にとっては、ホームグローン(自国発)型の「ジハード(聖戦)」の問題を米国が抱えている証左となる。そして左右のどちらにも義理立てする必要のない人々にとっては、上記の問いの答えは自明のように思われる。その答えは「3つとも正解」だ。

 今回の事件は、ドナルド・トランプ氏が11月の本選挙で当選したら危機にどう対処するかを見る、少し早めのテストにもなった。ジョージ・W・ブッシュ氏が大統領として最も輝いた瞬間の1つは、「9.11」の6日後にイスラム・センターに出向き、寛容と団結を訴えたときのことだった。一方、トランプ氏が銃乱射事件の一報を受けて最初に考えたのは、これに乗じて点数を稼ぐことだった。「イスラム過激派のテロに対する私の姿勢は正しかったという祝辞に感謝する」とツイートしたのだ。

 それだけではない。この共和党大統領候補は、オバマ大統領が「イスラム国(IS)」と陰でグルになっているかもしれないとの見方をほのめかした。さらにその後の演説では、イスラム教徒の米国人は「何が起こっているのかを知っている」のに間近に迫っている攻撃のことを警察にあえて知らせない第五列*1だと示唆した。

*1=国内に潜む敵の協力者のこと