高野山の金剛峯寺にある根本大塔(ウィキペディアより)

 「絶対見逃せない世界の名所20選」(米ナショナル・ジオグラフィック誌)に日本で唯一選ばれたのは、「京都」や「奈良」「北海道」ではなく、日本仏教の聖地、高野山だ。

 2016年5月の訪日観光客数は(6月15日、日本政府観光局発表)、189万4000人(前年同月比約16%増)で、5月としては過去最高記録を樹立。

 相変わらず、中国やアジアからの観光客拡大に関心が一極集中する中、実は米仏豪(20%以上増)、さらに英独伊西(16%以上増)など、欧米の観光客数も過去最高の2ケタ増を更新している。

 彼らはアジア系の観光客とは違う日本を楽しんでいる。

欧米人にブームの高野山

 筆者の友人(欧米人)は「ショッピングなどより日本の文化や歴史の実体験、日本人の精神的、神秘的魅力、さらに日本社会や日本人のなにげない日常に触れることこそプライスレスな日本観光の醍醐味」と語る。

 そんな「日本のたわいのない日常や慣習」で、にわかに人気が出始めているのが、日本百景の1つで日本仏教の聖地中の聖地、世界遺産・高野山だ。

 和歌山県北部の高野町の中心に位置する高野山は、周囲が1000メートル級の深い山々に囲まれた標高約900メートルの高地にある。最近では、大河ドラマ「真田丸」で真田幸村がのちに幽閉される地としても知られるようになった。

 “天空の宗教都市”へは、大阪の中心である難波から南海高野山線の特急「こうや」で向かうのが一般的。約1時間半で極楽橋へ到着。そこから、高野山山上ケーブルカーに乗り換える。

 このケーブルカーの外国語案内は、英語とフランス語。中国語、韓国語、英語が主流の京都など他の観光地とは少し異なっている。

 高野山への列車の旅も、なかなか豪快で神秘的だ。難波から「こうや」が走り出してから、30分強で紀ノ川を渡ると、そこにはもう山深い紀伊山地の緑豊かな森林の世界が広がる。