疲れには栄養ドリンクより鶏の胸肉だ

疲労研究者に聞く「食と抗疲労」(後篇)

2016.06.24(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要
鶏の胸肉。鶏の胸肉。抗疲労作用を発揮する食品成分が含まれているという

 疲れに対して、食はどう効くのか。「食と抗疲労」をテーマに研究者に話を聞いている。

 応じてくれたのは、梶本修身氏。疲労医学を専門に研究する国内ではユニークな大学講座「疲労医学講座」で疲労研究を行い、2003年に産学官連携で立ち上がった「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」のリーダーも務めた。2015年8月には、東京・新橋で、疲労研究の成果を社会でより生かすため「東京疲労・睡眠クリニック」も開業している。

 前篇(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47099)では、疲労と食についての基本的な知識を聞いた。食事は「疲れを起こしにくくする」上で重要という話、またコーヒーや栄養ドリンクなどでは抗疲労作用を期待できないという話もあった。

 いまは飽食の時代。スタミナ食をたくさん食べて元気になるという「量」重視の時代から、薬のような作用のある食品成分を効果的に摂って疲労に対処するという「質」重視の時代になりつつあると梶本氏は言う。そこで後篇では、梶本氏がリーダーを務めた研究プロジェクトで見出された、抗疲労効果のある食品成分について話を聞くことにする。その成分は、ごく身近な食材にも含まれているという。

渡り鳥の体から鋭敏な作用の抗疲労物質が

――前篇では、疲労研究の中で、抗疲労効果のある食品成分が見つかったという話でした。それは、どんなものでしょうか。

梶本修身氏(以下、敬称略) 「イミダゾールジペプチド」(以下、イミダペプチド)という、アミノ酸が結合した成分です。食品では鶏の胸肉に多く含まれるほか、マグロ、カツオなどの回遊魚にも含まれています。現在はサプリメントにもなっています。

――食材にどのくらいの量が含まれているのですか。

梶本 鶏の胸肉では100グラムあたり約0.2グラムのイミダペプチドが含まれています。ごくわずかな量でも抗疲労の効果はあります。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


食の万華鏡

食の安全に対して国民の関心が高まっている。今後、安全で美味しい食の供給国としての日本を考えた時にもこの問題は重要になる。食の安全の話題を中心に、食トレンド、食品マーケットなど、食にまつわる様々なテーマを取り上げる。