(英エコノミスト誌 2016年6月18日号)

英国民投票、主な争点に見るEU残留・離脱各派の主張

EUと英国の旗(2016年5月20日撮影、資料写真)。(c)AFP/PHILIPPE HUGUEN〔AFPBB News

(*)本記事は「英エコノミスト誌 2016年6月18日号」からの翻訳記事です。

EU離脱は英国と欧州双方の地位を低下させるだろう。

 投票に向けた運動に刺々しい雰囲気が漂っているせいで、失われかねないものの重要さが分かりにくくなっている。6月23日の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が選択されれば、英国の政治と経済にはいつまでも尾を引く深刻な打撃がもたらされるだろう。EUは最大加盟国の一角を失うことになり、ほかの欧州諸国は深い傷を負うことになる。

 そして、ドナルド・トランプ氏やマリーヌ・ル・ペン氏のような面々が経済ナショナリズムや排外主義をあおっていることから、西側世界の繁栄を支えてきたリベラルな秩序にとっても敗北を意味することになるだろう。

 もちろん、これは離脱派が言っていることではない。EU各地の欧州懐疑派たちと同様に、離脱派が力説しているストーリーは解放と歴史に関するものだ。例えば、非民主的で硬直化したEUから抜ければ、外向きな大国として主権国家の運命を自由に切り開けるようになるとの主張がある。

 離脱派の多くはリベラリズム――本誌(英エコノミスト)が長らく支持してきた考え方――の重要性を説いており、自由貿易が繁栄につながるという見方も支持している。役所での煩雑な手続きや小さな政府についても正しい苦言を呈している。さらに、EUからの移民を無制限に受け入れることに反対なのは決して外国人嫌いだからではなく、最も貢献してくれる人を選びたいからだとしている。

巨大なシンガポールを目指すのか

 リベラルな離脱派が売り込んでいることは幻想だ。EU離脱の現実に直面すれば、彼らの計略など粉々に崩れてしまうだろう。

 EUを離れれば、英国は今よりも貧しく閉鎖的になり、イノベーションも起きにくい国になってしまう公算が大きい。グローバルな視野を取り戻すどころか、影響力が低下して視野も狭くなるだろう。そして、英国を失った欧州では、すべての国々が今よりも貧しくなってしまう。

 まず経済から見ていこう。英国がEUを離れるときに短期的な打撃を被ることは、離脱派でさえ認めている。それ以上に重要なのは、長期的に繁栄する可能性も小さいことだ。英国の輸出は現在、そのほぼ半分が欧州向けだ。欧州の単一市場へのアクセスは、金融街シティーの活動にとっても外国直接投資(FDI)の誘致にあたっても欠かせない。