(英エコノミスト誌 2016年6月11日号)

米FRB、9年半ぶり金利引き上げ 金融危機対応に幕

連邦準備制度理事会のジャネット・イエレン議長(2015年12月16日撮影)。(c)AFP/Getty Images/Chip Somodevilla〔AFPBB News

米国の中央銀行に最も隷属している新興国はどこか?

 米国の首都ワシントンにある米連邦準備理事会(FRB)の堂々たる建物の外には、聖杯のような形をした噴水盤が2つあり、滝のように水がこぼれ落ちている。建物の内部では、FRBの意思決定が同じくらい大規模なスピルオーバーを生み出し、世界の資本の流れを決めている。そこでもたらされる結果、特に新興国でのそれは途方もなく重大なものになり得るが、優雅なものになることはまれだ。

 多くの新興国は6月初めまで、FRBの政策金利引き上げが近い、早ければ今月中にもあるかもしれないと心の準備をしていた。利上げが実行されれば、新興国から米国に引き揚げられる資金が増える恐れがある。そうなれば新興国の通貨が下落したり、債券利回りが上昇したりするだろう。

 金融引き締めが近いという予想が出てくるだけでも、トラブルを引き起こすのに十分だ。そのような状況下では、FRBの建物から遠く離れた地の中央銀行でも、同じように利上げに踏み切らねばならないと考えてしまうことがままある。自国の経済が、利上げなど全く正当化できない状況にあっても、だ。

 インド政府の主席経済顧問を現在務めるアルビンド・スブラマニアン氏は2014年、このような状況を「ドル帝国主義」と呼んで苦言を呈した。

 ところが6月3日、皇帝は一時的な救済を施した。この日に発表された雇用統計が驚くほど悪い数字になり、FRBの月内利上げ観測が完全に消えたのだ。米国債利回りは低下して、米ドルも下落。新興国市場は反騰した。