アルジェリアのモスク。アルジェリアは1830年にフランスに征服され1962年まで植民地だった(資料写真)

 フランスは第2次世界大戦では連合国側であり日本の“敵国”だった。そして現在、核を保有する国である。

 そのフランスが、今回のオバマ米大統領の広島訪問に強い関心を示した。「戦死者への敬意、謝罪はせず」(左派系の「リベラシオン」)、「ヒロシマ、オバマ謝罪せず」(保守系の「フィガロ」)というように左右を問わず新聞の見出しには一様に「謝罪」という言葉が並んだ。

「リベラシオン」は、安倍首相とオバマ大統領が原爆ドームを背景に手を取り合っている写真を掲載した。記事では「71年前、雲ひとつない快晴のある朝、死が空から降り、世界が一変した」という言葉をはじめ、大統領の演説を丁寧に紹介。演説に先立ち、広島平和記念資料館を訪問して自ら折った折り鶴を資料館と子供たちに渡したり芳名帳に署名したこと、原爆死没者慰霊碑で花輪を献花して黙祷したことなどを長文の記事で伝えた。2人の生存者、坪井直さんと森重昭さんと言葉を交わし、元教員の坪井さんの言葉に長い間、耳を傾けたことも丁寧に伝えていた。

「フィガロ」はオバマ訪問に先立ち、フリー記者のピエール・ジョヴァによる長文の記事を電子版で流した。ジョヴァ記者は、ホワイトハウスのコミュニケーション担当の補佐官でオバマのスピーチライターでもあるベン・ローズが報道陣に配布した文書を紹介した。