いよいよ世紀の難問「リーマン予想」を語る時が来ました。これまでの連載のすべてがここに集結します。

 円周率πの世界、三角関数誕生物語、ジョン・ネイピア対数誕生物語、ネイピア数e誕生物語、虚数iのリアル、スーパーたし算~積分法~、オイラーゼータ誕生物語、驚異のウルトラたし算、関・ベルヌーイ数誕生物語

sin、log、π、e、・(小数点)、i、∫、Σ、そして0と1

 これらすべての物語が集まって生まれた壮大な物語がリーマン予想です。

フェルマー予想とポアンカレ予想

 1994年に英国の数学者アンドリュー・ワイルズ(1953-)によって解かれた「フェルマー予想」は数学を習い始めた中学生にも「問題」は理解できます。

 同じく、2002年にロシアの数学者グレゴリー・ペレリマン(1966-)によって解決された「ポアンカレ予想」もフェルマーよりは難しいものの「問題」の輪郭はぼんやりとでも理解できます。

 数学の歴史の中で難解とされ百年を越える長い時間と幾多の数学者の努力がつぎ込まれた問題であっても「問題の理解」は容易なものは数多くあります。

 「問題の理解」とは、理解の第一段階のことです。理解の程度がまさに問題です。問題が解かれることは真に問題が理解され、深部にある仕組みが発見されることを意味します。

 フェルマー予想とポアンカレ予想はそれぞれ数論、幾何学の問題として中学、高校程度の数学の準備ができていれば「問題の理解」は難しくはありません。

 1640年にフランス人数学者ピエール・ド・フェルマー(1601-1665)によって提唱されたのが次です。

nが3以上のとき、xn+yn=znをみたす0でない自然数x、y、zは存在しない。

 n=2の時がピタゴラスの定理であることがこの問題にとって幸運なことです。ピタゴラスのおかげでフェルマーの「問題の理解」は助けられています。

32+42=52、52+122=132、82+152=172

 ピタゴラスの定理を満たす自然数x、y、zはいくらでも見つかるのに、nが3以上になるとそうはいかなくなるというのが、フェルマー予想です。

 350年にわたり、プロ・アマを問わず魅了し続けることができたのも、問題の明解さがゆえでした。