先日、当店(さわや書店)主催の講演会で作家の百田尚樹さんと畠山健二さんをお招きした時のことです。講演の最中にこんな話が出ました。

 もしも自分の息子が作家になりたいと言い出したら猛反対し、考え直すよう説得するだろう。

 子どもが親と同じ職業を選ぶという分かりやすい例を挙げるなら、それは芸能界だ。芸能界に2世が多い理由、それは「食える」業界だからだ。ゆえに芸能人は自分たちの子どもを芸能界に入れようとする、もしくは入りたいと言い出しても止めることはない。

 それに引き換え作家は苦労が多い割に「食える」業界ではない。だから、親としては賛成しかねる・・・

 と冗談交じりに話していました。

 もうすぐ現役が終わる年齢の、悪い言いかたをすれば「逃げ切れる」世代はともかく、「食えない」業界が今後より増えることは、衆目の一致するところでしょう。私も時々考えます。ウチの子どもが大人になる頃には、前回の記事(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46767)で書いたように人工知能の活躍する時代が訪れているだろうし、職にありつくのも容易ではないかもしれないと。

 そう遠くない未来に訪れる、厳しいと予測される時代。その到来を見越して、子どもたちへ生きることに前向きにいられる力を与え、できうる限り能力を伸ばしてやることが親の務めではないだろうか。しかし、一体どうすればよいのか。世の中が進む方向の不安と、その行き着いた先に子どもが適応できるかという不安。二重の不安から、いわゆる「子育て本」に手を伸ばした。