温泉旅館の楽しみといえば、温泉と料理。心配事が何もなければ、思う存分楽しむことができるはずですが・・・。(写真はイメージ)

 これまで3回にわたって、初めての日本旅行をレポートしてきた中国人の李小勇さん(仮名)。夫婦旅行のはずが家族全員で行くことになり(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46515)、大阪では心斎橋の魔力に翻弄され(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46689)、そして京都観光のはずが買い物に引き込まれたり(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46937)と、紆余曲折をたどっています。

 そんな李さん一家の旅行も、いよいよ佳境に。奥さんの買い物熱に引き込まれながらも、何とか京都観光を済ませ、李さん念願の温泉旅館にたどり着いた一家。あとは温泉と夕食を楽しむだけと思いきや・・・。李さんによる初めての日本旅行レポート第4弾、それではどうぞ。

大きな心配事

 京都北部にある、海に面した温泉旅館。部屋から綺麗な日本海が一望できる。旧正月の時期だが、あまり中国人は来ないのか、空いていたので予約した。日本語のサイトからしか、予約できないからかもしれない。

 それにしても遠かった。嵐山を早めに切り上げて出発していなかったら、たどり着けなかっただろう。

 家族全員、初めてのことだらけで大興奮だ。温泉、畳、障子、浴衣、床に直接寝るための布団、なんだか使い方が分からない指圧器・・・。妻とお義母さんは、もうスマートフォンで写真撮影が止まらない。息子は畳の上を大喜びで泳いでいる。お義父さんは障子に興味津々のようだ。そんなはしゃぐ家族たちをよそに、 私はとても焦っていた。

 例えるなら、出かけてから、ふと「出るときに鍵かけたかな」「ガスの元栓ちゃんと閉めたかな」と心配になるあの焦燥感だ。乗り換えに乗り換えを重ねて、苦労してたどり着いた京都北部の温泉旅館。「温泉だー!!」と喜ぶ家族をよそに、私は旅館に到着する前からある1つの不安が頭から離れず、興奮した家族の話にも上の空だった。

 それは「子供用のお子様ランチをちゃんと注文完了してただろうか?」という心配だった。