(英エコノミスト誌 2016年5月28日号)

北朝鮮が「万里馬運動」=住民動員、不満増の見方も

北朝鮮・平壌の金日成広場で行われた労働党大会の閉会を記念するパレードの後、人民大学習堂のバルコニーから手を振る金正恩第1書記(2016年5月10日撮影、資料写真)。(c)AFP/Ed Jones〔AFPBB News

世界は北朝鮮の核武装の野望に真剣に向き合うべきだ。

 バラク・オバマ氏は、核兵器のない世界にしようという情熱的な演説を行って大統領に就任した。その任期の最終年に当たる今年、本誌(英エコノミスト)が印刷に回された時点で、オバマ氏は現職の米国大統領として初めて広島を、すなわちこれまでに核攻撃を受けたことのあるわずか2カ所のうちの1つを訪問することになっていた。

 オバマ氏は任期中に核兵器の削減と不拡散を前進させた。2010年にはロシアとの戦略兵器削減条約(新START)に調印し、自ら提唱した核安全保障サミットは、核分裂性物質が悪意を持った人物の手に渡るのを防ぐのに貢献した。とりわけ重要なのは昨年7月、イランの核開発プログラムを縮小したうえで、少なくとも今後10~15年間は抑制する取引をまとめたことだ。

 しかし、失敗が目立つ分野が1つある。オバマ氏の任期中に、北朝鮮の核兵器・ミサイル開発プログラムが着実に脅威を増してきたのだ。

 北朝鮮の核ミサイルは、すでに韓国と日本を脅かしている。オバマ氏の後を継ぐ次期大統領が2期目に入ってしばらく経ったころには、ニューヨークも攻撃できるようになる公算が大きい。オバマ氏は北朝鮮対策をいわば後回しにしてきた。それが誰であろうと、次の米国大統領には、そんな贅沢は許されないだろう。

もう1つのマンハッタン・プロジェクト

 核兵器を使ってはいけないというタブーは、(1)核兵器の拡散を防ぐ政策、(2)核兵器の先制不使用(特に非核保有国を攻撃する場合)の原則、(3)核抑止――という3本柱を頼りにしている。北朝鮮はこのすべてにハンマーを振り下ろしている。