(英エコノミスト誌 2016年5月21日号)

会談成功は安倍首相次第=元駐日大使、政府紙に寄稿-ロシア

東京・羽田空港から欧州歴訪に出発する安倍晋三首相(2016年5月1日撮影)。(c)AFP/KAZUHIRO NOGI〔AFPBB News

G7諸国が日本に集まる中、宗教、政治、原爆のすべてが安倍首相にプラスに作用する。

 広島・長崎への原子爆弾投下と第2次世界大戦での日本の降伏からまだそれほど時間が経っていないある日のこと。三重県の伊勢市にある、国家宗教の神道で最も神聖とされる神社の1つに米軍兵士の一行が到着し、貴重なヒノキで作られた長さ100メートルの宇治橋をジープで渡って中に入ろうとした。

 これを止めようとした守衛は、米兵の1人に拳銃で追い払われた。もしジープのせいでこの橋のどこかが傷んでしまったとしても、どのみち修復されていた。1300年という古い歴史を持つこの神社のほかの建物などと同様に、この橋も20年おきに建て替えられるからだ。

 敗戦国の日本が堪え忍んだ数限りない屈辱の中で、この一件はささいな部類に入り、今では忘れ去られている。そして5月26日にはそれも償われるだろう。日本の安倍晋三首相はその日、神社の近くの島で開催される主要7カ国(G7)サミットに各国の首脳を出迎える際にこの橋を使う予定になっているのだ。

 今回のサミットは変わった場所で開かれるように見える。都会から遠く離れた、外国人にはほとんど知られていない土地であるうえに、1947年施行の憲法で国教ではないと宣言された宗教の聖地でもあるからだ(日本国憲法には「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」と書かれている)。

 三重県は、サミット開催の栄誉をめぐる競争に参加すらしていなかったが、首相官邸からおだてられて開催することになった。だが、国民が再び誇ることのできる強い国にすることで「戦後レジームからの脱却」を図るという首相の生涯の使命を考えれば、今回の場所の選択は巧妙なものだった。

 サミットはこのほかにも、いろいろな政治的利益を安倍氏にもたらすことになる。サミットに合わせてバラク・オバマ氏が現職の米国大統領として初めて広島を訪問することが決まったとなれば、なおさらそうだ。