新年度の慌ただしさも一段落し、気が付けば、5月も後半に入りました。力強さを増す陽射しに呼応するかのように、心身ともに疲れが出やすいのがこの季節。

 特に進学や就職、異動など新生活をスタートさせている方々は要注意です。さまざまな不調が重なると、俗に言う「五月病」に陥ってしまう恐れがありますので・・・。

 今回は、そんな季節にお勧めの書籍を紹介したいと思います。

爽やかな余韻とともに

 まずは、風薫るこの季節にふさわしいこの恋愛小説を。

ノヴェリストの季節』(沢村鐵著、徳間書店)

『ノヴェリストの季節』(沢村鐵著、徳間書店、1700円、税別)

 主人公の黒島郁生は大手出版社に勤める文芸編集者。先輩編集者からの引継ぎで、新進気鋭の女性作家である結城日向子を担当することになります。

 以前から日向子の作品に惚れ込み、才能を感じていた黒島は、新たな代表作を生み出すべく、二人三脚で作品に取り組むことに。

 やがて日向子の才能に加え、その人柄にも惹かれ始める黒島。日向子の中でも、黒島の存在は日ごとに大きくなっていきます。そんななか編集者に徹すれば徹するほど、黒島は内に秘めていたある思いを抑えきれなくなってきます。