文革50年、語られぬ「人肉宴席」 中国

中国では文化大革命の狂乱のさなかに恐ろしい「人肉宴席」の犠牲となった人々がいた。しかし、文革開始から50年を迎えた中国共産党は、当時の回想も、文革そのものや残虐行為についての歴史的評価も、包み隠そうと躍起になっている。写真は中国南部・広西チワン族自治区武宣の市街地を歩く女性〔AFPBB News

 「日本共産党」の腕章をつけた50がらみの人物が八王子駅頭でビラ配りをしていた。近づくと署名簿を出したが、「安保法制は戦争法ではないので著名はしない」と断った。しかし、嫌な感じを顔に出すこともなく、にこにこしている。

 そこで「40年近く自衛隊に奉職したが、今回の法制は従来の法律で足りなかったところを埋め、派遣部隊の安全と任務の達成をしやすくするもので、国の安全を高めます」と語りかけると、「自衛隊は一生懸命にやっていると思いますよ」とやわらかい応答である。

 これが今の日本共産党の戦術なのかもしれないと思いつつ、もらったパンフレットを見ると「未来をひらく 共産党の改革プラン」とある。あちこちに張られているポスターには「海外で戦争する国にさせない」「憲法9条守る共同を」「戦争法廃止、立憲主義回復へ」などと書かれている。

 国際社会の喧騒を感じている人々は、こうしたキャッチフレーズに引き寄せられるかもしれない。日本共産党自身も7月の国政選挙を前に、野党結集に積極的に動いている。

 本当はどうなのか、日本共産党の綱領や日頃の動きを見ながら検証が必要である。

9条が主権行為を制約

 日本人には言霊信仰がある。「戦争」という言葉を聞いただけでも拒否反応を示す戦後の日本では、戦争をしたがる人などいないのではないだろうか。

 自衛隊は完全に政治の下にあり、専守防衛の縛りがかけられている。主権が侵害される危惧や実際に侵害された場合、自衛官はわが身の危険をも顧みず領土と国民を守る任務に就く。これは「戦争抑止」であり、失敗すれば「戦争をさせられる」ことになる。

 こうした教育と訓練を受けた自衛隊が必要に応じて海外にも派遣されるが、どこまでも自国の安全に資するために、国際社会の紛争を抑止し平和を構築することである。

 他方、自衛隊は能力を有しながらも法制の不備で脅威などにシームレスな対処ができず、国民の負託に応えられない状況も起きかねなかった。これを最小限解消するものが先に成立した安保法制である。

 このような安保法や自衛隊に対して、日本共産党は「海外で戦争する国にさせない」というが、理解困難である。該党はあえて国民に間違った認識を与え、選挙で高得票を得るための宣伝をしているとしか思えない。