世界市場において、自動車メーカー各社は環境に関するレギュレーションへの対応に必死だ。具体的には、アメリカと中国の「CAFE」(企業別平均燃費)、アメリカの「ZEV法」(ゼロ・エミッション・ヴィークル規制法)、中国の「NEV」(ニュー・エネルギー・ヴィークル)に係る法律や法案、そして欧州のCO2規制などだ。

 こうしたレギュレーションへの対応で即効力があるのがプラグインハイブリッド車なのだ。日産にとって三菱自工のPHEVやPHEVシステムを手に入れることは大きなメリットがある。

 一方、三菱自工にとっても、CAFEやNEVへの対応として日産からのOEM供給が必要だ。そして当然、燃費不正問題に関して社会と向き合い収束を図る際の“味方”を得たことが極めて大きい。

 共同購買による原価低減も両社にとって大きなメリットである。こうした「目の前のさまざまなメリット」があり、両社は資本提携することがウイン・ウインだと考えた。ASEAN市場、SUV、EVといった領域の具体的な連携についてはこれから考えていくというのが本音だろう。

かつてはダイムラー・クライスラーと資本提携を解消

 緊急会見中、ゴーンCEOは次のように語り、両社が資本提携で目指す方向はすでに固まっていると説明した。

「ダイムラー・クライスラー(当時)と三菱自工の資本提携が解消されたのは、提携した後で“さあ何をやろうか”と考えるというプロセスだったことが原因でした。それに対して、今回は、両社が何をやろうかということを(ある程度)考えたうえで、資本提携しました」

 果たして、今回は三菱自工にとって良縁となるのだろうか。燃費不正問題が、離縁の原因になることは本当にないのだろうか。両社の動きを今後もしっかりとウォッチしていきたい。