イエメンの首都、サナアの街並み(筆者撮影、以下同)

 アラビア半島といえば石油、富豪、イスラム教・・・というような連想をするが、石油の取れない、富豪のいない古くからのイスラム教国があって、それがイエメンである。

 石油が取れないということは要するに近代資本主義型の富豪がいない(きわめて少ない)ということで、GDPが低ければ失業率も高く、イエメンは後発途上国と言われている。しかし近代資本主義の洗礼を受けていない分、昔ながらの生活や、つまり生活に根差した信仰が残っているということでもある。2015年から内戦が始まり今や気軽に旅行できる国ではなくなってしまったが、私の旅行した2008年ごろのイエメンが旅行者を惹きつけていたのはその、町に反映された「古き良きイスラム」であった。

 今は世界宗教となったイスラム教はアラブ半島に生まれ、瞬く間に海を越えて世界へ伝播していくが、メッカ・メディナの南にある現イエメン地域はその中でも、最も古くからイスラムである場所のうちのひとつであった。