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後継者がいなくても廃業はしないという選択肢

 会社の後継者問題は、特にオーナー社長が経営する中小企業では深刻なものになっている。後継者が見つからずに、やむを得ず廃業するところも多い。そうなれば、長年にわたり築いてきた顧客との関係や技術・ノウハウが消滅してしまうし、従業員の雇用や取引先への影響も大きい。

 そこで、会社を売却して事業を継続させることを考えてみたい。つまり、友好的なM&A(Mergers and Acquisitions)によりこの問題を解決するという発想だ。

 会社を解散させずに売却するという選択は、ビジネスオーナーにとっては、自分の関与はなくなっても「創業理念」が存続していくという精神的な価値をもたらす。また、従業員、顧客、取引先、地域社会などとの関係を維持できる可能性が高い。そして実は、ビジネスオーナーの金銭的なメリットも大きいのだ。

M&Aの実態は・・・解散・清算との比較

 M&Aというと、大手企業が規模拡大のため同業会社を買収するというイメージがあるが、最近では後継者不在に伴う事業継承の手段として、中小企業のM&Aも年々増加傾向にある。M&A助言会社のレコフ社の統計によると、2015年のM&A実績は、2428件(金額15兆円超)となり、この数年増加している。この内、事業継承M&A件数は3割程ではないかと推定されている。