(英エコノミスト誌 2016年4月23日号)

新5ドル紙幣は猿にデザインさせた方がマシ?豪ネットで酷評

オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)が公開した新デザインの5豪ドル紙幣(2016年4月12日公開)。(c)AFP/RESERVE BANK OF AUSTRALIA〔AFPBB News

低迷から抜け出すために、世界各地の中央銀行がお金を配ることを検討している。

「ヘリコプター・マネー」という言葉には、ヘッジファンドの経費精算書に載っている項目のような響きがある。実は、これは紙幣を印刷して政府支出の財源にしたり、国民に直接配ったりする大胆な金融政策の略称だ。一部の中央銀行家は、ヘリコプター(そして印刷機)の準備に取り組んでいるように見受けられる。

 欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁は3月、ヘリコプター・マネーを「非常に興味深い概念」だと形容した。また、この手法の熱心な支持者たちは、これこそ冷え込んだ景気を活気づけられる方法だと考えている。

 ヘリコプター・マネーは、その言葉の響きから感じられるほど突拍子もないものではない。さらに言えば、景気回復の最大の足かせである政治的な制約を取り除くものではない。

 人の想像力をかきたてるこの概念を最初に唱えたのは、マネタリズムの父、ミルトン・フリードマンだった。フリードマンは1969年、中央銀行がマネーサプライを増やせないはずがない、いざとなったら現金に飢えている国の上空から印刷したばかりの紙幣をいつでもばらまくことができるのだから、と考えた。

 2000年代の初めになってこのアイデアは再び脚光を浴びた。日本経済がデフレの罠から抜け出す方法を見つけ出そうと経済学者たちが頭をひねったことがきっかけだった。

 米連邦準備理事会(FRB)の議長に就任したばかりだったベン・バーナンキ氏は、デフレ退治についての講演でフリードマンの奇抜な思いつきに言及し、「ヘリコプター・ベン」というあだ名をつけられた。

 今日では、ヘリコプター・マネーという言葉を聞いてクスクス笑う人は減っている。経済規模が大きくて裕福な国々が、慢性的な低インフレ・低金利という日本と同様のパターンに軒並み陥っているからだ。

 世界金融危機の影響により、名目国内総生産(GDP)の成長率は痛々しいほど低くなっている。欧州と日本は特にその傾向が顕著で、ヘリコプター・マネー導入の最有力候補になっている。

 政策金利を引き下げてマイナスにしたり、大量の紙幣を印刷して国債を買ったりする(いわゆる量的緩和=QE)テコ入れ策を中央銀行が力強く試みているにもかかわらず、景気はなかなか回復しない。実際、新しい戦略が求められているように見える。

 ヘリコプター・マネーの提唱者は、本当に飛行機からお金をばらまくことを検討しているわけではない。