大村湾が見渡せる丘陵地にある「おおむら夢ファーム シュシュ」。

 駐車場にはぎっしりと車が並び、売り場にはカゴにたくさんの野菜を詰め込んだ大勢の客。その賑わいは「さすが日本一」とうならせるものがあった。

 訪れたのは長崎県大村市の農産物直売所「おおむら夢ファーム シュシュ」(以下、シュシュ)。

 全国直売所研究所などが主催する「直売所甲子園2015年」で、シュシュは「6次産業化」の先進事例として評価され見事に優勝、「日本一」の栄冠に輝いた。他にも「全国地産地消コンクール(交流促進部門)農林水産大臣賞」「グリーンツーリズム大賞2009 大賞」など数多くの受賞歴があり、直売所関係者の間では広くその名を知られる。

(注)6次産業化:農産物や水産物の生産から加工、販売までを一貫して手掛け、地域経済の活性化を図る取り組み。

 シュシュがオープンしたのは2000年4月。周囲から「無謀」と言われた挑戦だった。しかし現在では年間の来場者が約50万人を数え、直売所という枠を飛び越えてもはや長崎でも有数の観光地となっている(2015年の売上は約7億5000万円)。

 4月のある土曜日、“日本一”の直売所とは一体どんなところなのか、この目で確かめるために大村を訪れた。

 長崎空港から車で約15分、大村湾を見渡せる標高100メートルの丘陵地に「シュシュ」の大きな看板が立っている。タクシーの運転手から「休日はたくさんの人ですよ」と聞いていたとおり、駐車場には続々と車が吸い込まれていく。ナンバープレートを見ると地元の「長崎」「佐世保」の車が多いようだが、中国人の団体旅行客も大型観光バスで乗り付けていた。

 場内には、約150の農家が農産物を持ち寄る直売所、イチゴ狩りができるイチゴハウス、食品加工場、洋菓子工房、「食育体験」用の教室など様々な施設がある。レストランでは地元の旬の農産物を使った料理をバイキング形式で提供しており、お昼どきには順番待ちの行列ができていた。

地元大村の旬の農産物、加工商品が並ぶ直売所「新鮮組」