(英エコノミスト誌 2016年4月23日号)

ブラジル下院、ルセフ大統領の弾劾を可決 審議は上院へ

ブラジル議会下院で、ジルマ・ルセフ大統領の弾劾手続きを進めることが可決され、喜びを爆発させる議員ら(2016年4月17日撮影)。(c)AFP/EVARISTO SA〔AFPBB News

ジルマ・ルセフ大統領は国民の期待を裏切った。だが、それは政界全体も同じだ。

 ブラジルの議会はその歴史上、奇妙な光景を何度か目撃している。1963年には、ある上院議員が宿敵に銃口を向け、誤って別の上院議員を殺してしまった。1998年には、ある下院議員が電子投票装置のボタンを押し間違ったために、政府提出の重要な法案が否決されてしまった。

 だが、今年4月17日にこの議会下院で行われた見せ物は間違いなく、最も奇妙な光景の1つに数えられるだろう。511人の下院議員が1人ずつ群衆に囲まれたマイクに向かって進み、国民に向かって10秒間早口で訴えてから、ジルマ・ルセフ大統領の弾劾の是非について1票を投じていったのだ。

 ブラジルの国旗を身にまとって現れた議員もいれば、クラッカーを鳴らした議員もいた。多くは自分の選挙区や宗教へのメッセージ、持論などを述べていた。ブラジルの保険ブローカーに語りかける議員もいた。ルセフ氏の弾劾を上院で審理するという議案は賛成367票、反対137票で承認された。棄権は7票だった。

 この採決は非常に深刻な時期に実施された。ブラジルは現在、1930年代以降最悪の景気後退に苦しんでいる。国内総生産(GDP)は、景気後退が始まった2014年第2四半期から今年の年末にかけて9%縮小すると見られている。インフレ率と失業率はともに10%前後という高水準だ。

 失策を犯したのはルセフ氏だけではない。ブラジルの政界全体が怠慢と汚職によって国民を失望させている。徹底した浄化が行われなければ、ブラジルの指導者たちが市民の尊敬を取り戻したり経済問題を克服したりすることはないだろう。