インドネシアの「ホビット」、通説よりも早い時期に絶滅か 研究

インドネシアで発見されたホモ・フロレシエンシス、通称「ホビット」(左)と現代人の頭蓋骨。インドネシア・ジャワ島中部にあるガジャ・マダ大学で(2004年11月5日撮影、資料写真)。〔AFPBB News

 6万年前にアフリカを出て世界各地への移住を開始したヒトは、1~2万年の間にアメリカ大陸を除く世界に広がった。そして氷河が溶け始めてアラスカ以南への移住経路が開けた約1万5000年前には、アメリカ大陸各地への移住を始め、約1万年前には南米の先端まで到達した。

 その後、今日に至るまで、ヒトはその数を増やし続けている。そしてこの人口増加は、ヒトの新たな進化の駆動力となった。今も私たちは、進化し続けている。

驚くべき発見が相次ぎ報告される

 私たちはどこから来て、どこへ行くのか? この問いは、私たちヒトが言語を使った思考能力を身につけて以来、抱き続けてきた疑問に違いない。

 私たちヒトは世界のさまざまな事物に興味を持ち、疑問を抱き、その疑問に答えるために世界を調べる努力を続けてきた種である。その疑問の矛先は、私たち自身にも向けられてきた。そして私たちは、この大きな問いへの答えを、ついに手にしようとしているのかもしれない。

 ヒトは約6万年前にアフリカを出てネアンデルタール人を滅ぼし、世界各地に広がった。この時点で、ヒト(ホモ・サピエンス)とネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス)の間には、技術力に大きな差が生じていた。

 ヒトは貝殻などを加工し、釣り針などを製作する技術を発達させたが、ネアンデルタール人はこのような技術を持たなかった。ヨーロッパに進出したヒト(クロマニオン人)の遺跡からは、これらの加工品が見つかる。埋葬跡からも副葬品が見つかるので、死者を埋葬したことがわかる。

 ネアンデルタール人については、死者を埋葬したのではないかと主張する論文が古くから発表されてきたが、そのたびに反論が出された。最近では2013年にPNAS(米国アカデミー紀要)に埋葬説の論文が出たが、2015年に丁寧な反証論文が出され、いまだに埋葬の決定的な証拠は得られていない。

 約6万年前にヒトは何らかのイノベーションを達成したのだが、そのイノベーションとは「言語による高度なコミュニケーション」だった可能性が高まっている(前回の記事ではこの証拠を紹介した)。そして、前回の記事掲載後にも驚くべき発見が相次いで発表されている。

(※)前回の記事6万年前に人類が手に入れた脅異の能力とは?(JBpress)

ネアンデルタール人のY染色体は排除された?

 2016年4月7日には、ネアンデルタール人のY染色体(男性だけが持つ染色体)の遺伝子解析の結果が報告された。