(英フィナンシャル・タイムズ紙 2016年4月15日付)

EU離脱なら英国の経済損失16兆円、約100万人が雇用喪失 報告書

ベルギーの首都ブリュッセルの欧州連合(EU)本部前にはためく英国旗と欧州旗(2016年1月29日撮影、資料写真)。(c)AFP/EMMANUEL DUNAND〔AFPBB News

 バラク・オバマ米大統領がまもなくロンドンを訪問する。出迎えるデビッド・キャメロン英首相に促され、オバマ氏は恐らく、国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めるのは正気の沙汰ではないとの考えをほのめかすだろう。英国が欧州大陸から離れたとしても、ワシントンに安息の地を見いだすことはないだろう、と。欧州を手放して代わりに世界を手に入れることができるなどという離脱派の約束も、もはやこれまでだ。

 米国の大統領が英国のいとこたちに権力の厳しい現実を突きつけるのは、特に目新しいことではない。米国と「特別な関係」を深めようとする英国の熱意はもう何十年も前から、欧州統合の促進に向けた米国の取り組みと衝突している。その結果として生じた大西洋間の外交関係の大半は、ねじれていると表現して差し支えない。

 ずいぶん昔のことになるが、1952年にはドワイト・アイゼンハワーが、フランスとドイツの和解を阻止しようとする英国の試みにいら立ちを募らせていた。アイゼンハワーは日記に、米国と最も親しい同盟国は「まだ過去に生きている」と記し、首相の座に返り咲いていたウィンストン・チャーチルは「もう新しい考え方を吸収しない」と書いた。もちろん、チャーチルは欧州合衆国なるものを想像してはいたが、大国である英国は高みに立って距離を置く姿を思い描いていた。

 その10年後、ディーン・アチソン米国務長官も全く同じいら立ちを――帝国を失った英国は、まだ自分の役を探し回っているという見解を――口にした。英国は確かに欧州の大国だが、なぜこの地政学の冷厳な現実を受け入れられないのか、というわけだ。

 英国のハロルド・マクミラン首相(当時)は、公の場では米国務長官を非難しなければならないと思ったが、個人的にはアチソンとほとんど同じ考えだった。そしてこの時すでに、マクミランは欧州共同体(EC)への英国加盟という長く苦しい旅の手はずを整えていた。

 民主主義的な敏感さに気を配るオバマ氏は、もっと巧妙な表現を使うだろう。しかし、キャメロン氏は先輩のマクミランとは違い、オバマ氏にはできるだけ率直にものを言ってもらいたいと思っている。