中国の老人にとって、子どもは頼りにならなくなってきた?(写真はイメージ)

 中国でも高齢化が進んでいる。2014年末、65歳以上の高齢者数は1億3800万人となった。10人に1人が高齢者である。同年、日本の65歳以上の高齢者数は3300万人に達し、4人に1人の割合となった。高齢者の割合では日本が先を行くが、中国も高齢化の速度は増す一方である。

 日本同様、高齢者施設や介護士の不足、年金の支給金額などが社会問題となっている。介護保険制度や後見人制度などの制度設計がこれからの課題だが、先行して導入されたのが「リバースモーゲージ」だ。

 リバースモーゲージとは「住宅担保年金制度」とも言われ、高齢者が自宅を担保に入れさせて老後資金を融資してもらうシステムである。2014年から北京、上海、広州、武漢の4都市で試験的に導入され、今後もさらに試験都市を増やす計画だ。

 この金融商品のメリットは、住み慣れた家を売却せずに、居ながらにして現金化できる点だ。筆者の友人にも、このシステムを利用した老夫婦がいる。大学生の一人息子を交通事故で失ったこの老夫婦は、「住宅があっても相続人はいない。それならば自宅を抵当に入れ、毎月の生活費として現金をもらった方がいい」(夫)という理由から、リバースモーゲージの契約に踏み切った。