地元、横須賀市で挨拶をする小泉進次郎氏(出所:Wikipedia

 小泉進次郎氏を事務局長として、中長期の経済・財政を議論してきた自民党の「2020年以降の経済財政構想小委員会」は4月13日、「レールからの解放」という中間報告をまとめた。

 委員会はこの報告書で、「これまで日本社会は、一本道の『レール』を走り抜くような生き方を求めてきた。[中略] しかし、人口減少による少子高齢化、さらに『人生100年』生きていくことが当たり前になる未来に、もはや戦後のやり方は通用しない」として、「政治が、その『レール』をぶっ壊していく」と宣言している。

2020年以降の財政は大丈夫なのか

 この報告書の特徴は、小泉氏を中心にして30~40代の若い議員を集め、「2020年以降の社会保障のあり方」を検討したことだ。

 政府の中期財政計画は2020年度を目標にしているが、2020年まであと4年しかないのに、それ以降の財政計画がないというのは無責任な話だ。安倍首相は社会保障に手をつけないで増税を延期してきたので、政府債務や社会保障負担は増える一方だ。彼は「アベノミクスで成長すれば増税しなくても財政は再建できる」などと言ってきたが、今年に入って経済が本格的に悪化し、場当たり的な景気対策では乗り切れなくなってきた。

 財政タカ派といわれる稲田朋美政調会長は、小泉委員会の発足にあたって「将来世代が高齢者になるころの社会を見つめながら、社会保障改革をしっかりやっていく」と述べた。今度の選挙から有権者が18歳以上になるので、若者対策の姿勢をみせたのだろう。

 もちろん「老人の党」である自民党内には、早くもこれに反発する声が出ており、彼らの提言が実現するかどうかは分からない。今回の中間報告には具体的な政策はなく、「2020年以降の『第二創業期』に向けた議論の経過」という形で基本的な考え方を紹介するにとどまっているが、今までの自民党とは方向がかなり違う。