(英エコノミスト誌 2016年4月9日号)

核安保サミット共同声明、進化する過激派の脅威に警鐘

米首都ワシントンで開かれた核安全保障サミットで集合写真撮影に臨む各国首脳(2016年4月1日撮影)。(c)AFP/MANDEL NGAN〔AFPBB News

ドナルド・トランプと金正恩は核拡散の可能性を高めたがっているようだ。

 道徳的な観点から言えば、ドナルド・トランプ氏は金正恩(キム・ジョンウン)氏には似ていない。彼は子供を強制収容所に送ったりはしない。しかし、あの大言壮語の大立者(おおだてもの)とけんか腰の専制君主との間には、いくつか共通点がある。

 自画自賛する癖があること、事実の解釈が独特なこと、自分の国の周りに高い壁を築きたがることなどがそうだ。彼らはまた、北東アジアでの核拡散についての議論も2人がかりで巻き起こしている。

 北朝鮮が初めて核を手に入れた10年前には、多くの人が周辺諸国もすぐに追随するのではないかと懸念した。韓国、日本、台湾はいずれも高い技術力を持ち、脅威を感じる理由もある。しかし、この3者はまだ核武装していない。

 そして、金正恩氏が水爆だと呼んでいるものの実験をしたり、トランプ氏が「米国の防衛負担をなくすために日本と韓国は自前の核爆弾を持つべきだ」と説いたりしても、核保有に対する3者の自制は続きそうだ。

 国際戦略研究所(IISS)のマーク・フィッツパトリック氏は近著『Asia’s Latent Nuclear Powers(アジアの隠れ核保有国)』で、韓国、日本、台湾のうち核兵器を手に入れる可能性が最も高いのは韓国だが、実際に入手することはないだろうと論じている。

 韓国の世論調査では、回答者の3分の2近くが核武装を支持している。政治家の中にも賛同者がいる。現代財閥の創業家の出身で2012年の大統領選挙に出馬した経験を持つ鄭夢準(チョン・モンジュン)氏もその1人だ。

 北朝鮮が核実験を先日行った後、鄭氏は韓国に対し、核拡散防止条約(NPT)から脱退することと、北朝鮮を核交渉の場に引きずり出す唯一の方法として核爆弾の保有を目指すことを求めた。鄭氏は自身のブログで、それこそが「冷戦の教訓」だと記している。