日本の会社の生産性は先進諸国と比べて低いと言われています。その諸悪の根源は、「長時間働いたら評価される」という仕組みにあり、残業代に象徴されると私は考えています。

 そこで、金利がマイナスになったことをヒントに、いっそ残業代もマイナスにしてしまえばどうでしょうか。

勤勉だからこそ生産性の低い日本の会社

 よく「日本人は勤勉なのに生産性が低い」と言われますがこれは全く逆で、「勤勉だからこそ」生産性が低いのだと私は考えています。

 農業国家・村社会だったからでしょうか、我が国には勤勉、すなわち真面目でコツコツ長時間働くことを良しとする文化が根強いのです。これは、生産性とは相容れない考え方です。

 自分のやるべきことを素早くこなして早く帰ってしまうような人は、残念ながら評価されにくい。そういう人は「チームワークが大切だ」「要領は良いがより一段高い仕事のレベルを追究する姿勢に欠ける」などと上司から難癖を付けられ、評価を落とされてしまいます。

 マンガみたいな話なのですが、上司よりも先に会社に行き、上司が帰るまで帰らないというのは今でもサラリーマンの処世術の基本です。

 間にタバコを吸っていたり、だらだらとお喋りをしていても、目に余らない限りは評価にはあまり関係がありません。仕事をこなすのが早い人は、早く片付けると別の仕事を依頼されるだけなので、わざとペースを落として忙しいフリをしたりします。

仕事ができる人には“ペナルティ”になる残業代

 実際にはそんなモラルの低い人はいないと思いますか? それは、もしかしたらあなたがそのことに気付いていないだけなのかもしれません。

 ここだけの話、少なくとも私は、そうしていましたから。もちろんあまり露骨にやりすぎると周囲にばれますから、それなりに成果も挙げますし、やる気があるように見せたり、時にはさらなる仕事を進んでもらったりする「演技」がセットですよ。あくまで巧妙に、生産性を落とすんです。