(2016年3月24日付 FT.com)

爆弾とISの旗、ブリュッセル家宅捜索で発見

爆発が起きたブリュッセル市内のマルビーク地下鉄駅周辺で警戒に当たる兵士(2016年3月22日撮影)。(c)AFP/Cédric SIMON〔AFPBB News

 ベルギーの首都ブリュッセル。欧州連合(EU)の本部が置かれた地区の一角に地下鉄のマルベーク駅はある。3月22日火曜日にはそこで列車が爆破され、イスラム過激派組織ISIS(イラク・シリアのイスラム国)が犯行声明を出した。

 同じ地区の別の一角には静かな公園があり、その片隅にブリュッセルの大モスクが建っている。そしてその中には、サウジアラビアが支援しているベルギー・イスラム文化センターがある。

 つまり、ベルギー当局が昨年、イスラム過激派の拡散との関連を示唆した文化施設と、テロ攻撃の現場との中間辺りで、28カ国が加盟するEUは業務を行っていることになる。これは現代の都市における施設の配置と欧州の歴史との不幸な衝突だ。

 重要なことなので強調しておくが、マルベーク駅とブリュッセル国際空港で22日に起きた残虐行為と、大モスクや文化センターとを結びつける証拠は一切ない。

 しかし、ブリュッセルから手引きされたパリのテロ攻撃で130人が殺害された昨年11月13日よりも数カ月前に、ベルギー政府はサウジアラビア大使に対し、同文化センターの理事ハリード・アラブリ氏の扇動的な説教について苦言を呈していたことが明らかになった。同氏はその後、このポストを外された。

 ベルギーのイスラム教徒を正式に代表しているベルギー・ムスリム評議会が狂信的な行為に強く反対している穏健な組織であることは、心に留めておく必要がある。この組織は、上記の文化センターに対するサウジアラビアの影響を過大だと見なしており、22日の攻撃についても全面的に批判している。

「聖戦士の聖域」となったモレンベーク地区

 だが、過激思想に染まり、戦闘に参加するためにイラク、シリアへ赴く何百人ものベルギー人イスラム教徒の流れを止める力は、この評議会にはない。人口比で見ると、ベルギーはフランス、ドイツ、英国など、どの欧州の国よりも数多く「聖戦士(ジハーディ)」を供給している。