(英フィナンシャル・タイムズ紙 2016年3月15日付)

ブラジルで「歴史的」反大統領デモ、全土で300万人参加

ブラジルの首都ブラジリアで、ジルマ・ルセフ大統領の退陣を求めてエスプラナーダ・ドス・ミニステリオスに集結した人々(2016年3月13日撮影)。(c)AFP/ANDRESSA ANHOLETE〔AFPBB News

 深刻な景気後退、格付け機関による格下げ、加速度的に増える失業、多額の財政赤字、政治的な混乱――。ブラジルが抱える問題のリストは長く、一見すると解決不可能だ。

 では、投資家はなぜ、ブラジルの通貨レアルを好んでいるのだろうか?

 表面上は、ブラジルの苦境は2015年と同じくらいひどく見える。昨年はレアルが対ドルで3割強も急落し、9月に1ドル=4.25レアルの最安値をつけた。

 2016年に入ってから最初の3週間も悲観的な見方がブラジルを覆い、レアルは5%以上下落した。

 ところが、レアルは過去1カ月間で10.8%上昇、1ドル=3.60レアル前後で推移しており、新興国市場の通貨の世界でベストパフォーマーの地位を得ている。

 暗いニュースが日々出てくることを考えると、ブラジル経済の行方を予想することは危険な作業だが、大方の為替ストラテジストはレアルが安定したとの見方に至っている。

 何が通貨高をもたらしたのか。米国経済に対する不安と、米連邦準備理事会(FRB)が予想していたよりも緩やかな利上げサイクルの見通しが、複数の新興国通貨に活気を与えた。ブラジルを含む多くの新興国で国際収支の見通しが改善したことも刺激になった。たとえその引き金が輸出の増加ではなく輸入の急減だったとしても、だ。

 コメルツ銀行の新興国部門のトップ、ピーター・キンセラ氏は「比較的良好な環境が見て取れる」と言う。

 コモディティー(商品)価格が底打ちした兆候が増えていることも、ブラジル通貨を安定させる助けになった。

前大統領拘束のインパクト

 しかし、この数週間のレアル反騰の大きなきっかけは、政治の世界から来ている。ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ前大統領の身柄拘束と、それが弟子のジルマ・ルセフ現大統領に与える影響が、投資家の間で、政変に対する障害が予想より早く克服されるとの期待感を高めたからだ。