中国で原油生産減少、それでも価格は上昇しない理由

改革が生み出す大量の失業者、中国経済はさらに停滞?

2016.03.18(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46356
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経済構造改革で原油価格はさらに下落?

 実際に、中国国内の原油生産の減少は、これまでのところ市場関係者の間では材料視されていない。3月8日に中国の原油輸入量が大幅に増加したことにも、市場は関心を示さなかった。

 むしろ中国の全体の輸入額が大幅に減少したことにネガテイブに反応した。つまり、中国のマクロ経済の動向のほうが原油価格への影響が強いと考えられる。

 中国では過剰な供給を是正するため大幅な経済改革が予定されており、今後500万人以上の失業者が発生するとの観測が出ている(2016年3月2日付ロイター)。これに加えて原油安という前例のない圧力に直面している巨大国有石油企業が、コスト割れ生産を回避する動きを本格化させれば、失業者はさらに増大するだろう。

 石油企業のリストラの悪影響は既に出ている。3月6日付日本経済新聞は「大慶油田がある黒竜江省大慶市で2015年のGDPが3000億元(約5.3兆円)と前年に比べて27%減少した」と報じた。大慶油田の生産量がピーク時に比べて約3割減少したことが、黒竜江省が30年ぶりのマイナス成長になった原因である。

 中国の石油産業の設備投資が大幅に減速すれば、米国の場合と同様に景気への大幅下押し圧力となり、地域経済はもとより中国の経済全体に悪影響を及ぼすことになる。原油生産量の減少によるマクロ経済への悪影響を考えれば、原油価格は今後上昇するどころかむしろ下落する可能性の方が高いのではないだろうか。

中国はますます南シナ海を死守するようになる

 国内の原油生産の減少がもたらす中国のエネルギー安全保障政策に与える影響も気になるところである。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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