中国で原油生産減少、それでも価格は上昇しない理由

改革が生み出す大量の失業者、中国経済はさらに停滞?

2016.03.18(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46356
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 CNPCは「今年以降は年平均約130万トンずつ減らしていき、2020年には3200万トンまで落とす」との方針を示しているが、「新しい技術が開発されない限り、大慶油田は年間2000万トンの生産を維持するのも困難だ」との指摘もある。

 今なお中国のエネルギー戦略上大きな価値を有する大慶油田の生産が失速するようなことがあれば、今年から実施される第13次5カ年計画は見直しを余儀なくされるだろう。

原油価格は再び軟調に推移する

 中国国内の油田の採算ラインは1バレル=約50ドルとされており(3月16日付ブルームバーグ)、業界関係者は「このまま原油価格が長期的に低迷する場合、生産が停止される油田はさらに増えるだろう」と予測する。

 そうした状況の中、中国国内の原油生産量低下は「過剰供給により原油価格暴落を招いた国際市場にとって良い知らせかもしれない」との見方が出てきている。

 だが、はたして原油価格は上昇するだろうか。

 3月11日、国際エネルギー機関(IEA)は「原油価格が底を打った可能性がある」との見解を示した。だが昨年1月の見通し(2015年末から2016年初旬にかけて供給過剰は解消する)が見事に外れたことに留意すべきである。原油価格急落以降、底入れを指摘した市場関係者は何人もいたが、これまでのところ予想が的中した者はいない(3月14日付ブルームバーグ)。

 3カ月ぶりの高値を付けていた原油価格は、3月14日にイラン政府が生産量を経済制裁前の水準(日量400万バレル)に回復させる意向を示したことから反落した。市場関係者が一縷の望みを託していたOPEC加盟国と非加盟国との会合も、3月20日から4月に延期されてしまった。2月のイランの原油生産量は1997年以来の伸びを示し、OPEC諸国とロシアの間での歩み寄りも見られないなど、悪材料に事欠かない。

 何よりも原油価格上昇の障害となっているのは、2014年以降積み上がった約10億バレルの過剰在庫である。この過剰在庫があるため、米国で少々ガソリン在庫が減少したとしてもすぐに元の価格水準に引き戻されてしまうのだ。

 価格が上昇したらしたで原油生産が増加するので、市場のリバランス(再均衡)が遅れるだけである。ゴールドマンサックスが「偽りの反発」と称したように、筆者は原油価格は再び軟調に推移することになるだろうと見ている。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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