(英エコノミスト誌 2016年3月12日号)

「経済移民は欧州に来るな」、EU大統領が警告

ギリシャ・イドメニ付近の対マケドニア国境にある仮設の移民キャンプで、「私たちは人間だ」と書いた紙を読み上げて国境の開放を求める子ども(2016年3月3日撮影)。(c)AFP/SAKIS MITROLIDIS〔AFPBB News

欧州がトルコと交わした約束は物議を醸すが、大量移民のカオスの終結が最も期待できる取引だ。

 東西冷戦の時代、トルコという国は欧州がソ連軍から身を守るための砦の1つであり続けた。それが今では、中東から身を寄せ合うようにやって来る人々を欧州に入らせないための防護壁になりつつある。

 3月7日、欧州の首脳はトルコのアフメト・ダウトオール首相と会談し、極めて野心的なある取引について大枠で合意した。

 これによれば、トルコは、同国の海岸からボートに乗ってギリシャに向かった人々を全員引き取る。

 欧州はその見返りとしていろいろな約束をしている。資金を援助する、現在トルコにいる多くの難民を欧州連合(EU)域内に定住させる、トルコ国民のEUへのビザ(査証)なし渡航を認める、トルコのEU加盟交渉を再開する、などがその主なところだ。

 この取引は、どの要素を見ても政治的、法的、あるいは道徳的に問題を含んでいる。さらに悪いことに、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の行動はますます専制君主の様相を帯びつつある。トルコ政府は、EUと合意する前の週末に反体制派の著名な新聞を管理下に置いた。

 しかし、欧州がやっていることは正しい。今回の取引の基本的な考え方は健全だ(実際、本紙エコノミストもこの考え方を支持してきた)。その理由は次の通りだ。