(英フィナンシャル・タイムズ紙 2016年3月5/6日付)

トランプ氏、支持者がナチスのような敬礼? 本人は一蹴

米フロリダ州ウエストパームビーチで記者会見するドナルド・トランプ氏(2016年3月5日撮影)。(c)AFP/RHONA WISE〔AFPBB News

 今から5年前、米国の人気トークショー「モーニング・ジョー」のパネル討論に参加していたとき、ドナルド・トランプの話題が持ち上がった。

 騒々しい議論が勃発し、筆者は明るく、トランプは「何件かの破産を除けば」素晴らしいビジネスマンであり、「あのカツラ」を着けていてもカリスマ性に恵まれていると冗談を言った。

 数分後、トランプが番組に電話をしてきて、放送中の謝罪を求めてきた。

 明らかに、彼は破産に関するジョークに腹を立てているだけではなく(トランプは、自分が個人的に破産したことは1度もなく、「ただ単に」自分の会社が何社か破産しただけだという点を明確にするよう求めてきた)、髪の毛に関する冗談にも怒っていた。

 そこで、我々がテレビのセットのテーブルを囲んで座る傍ら、番組のホスト役がカメラに向かって真顔で法的な謝罪を読み上げた。

「彼は訴訟を起こしてくるかもしれないよ」。筆者が恥ずかしさで身もだえし、笑うべきか泣くべきか分からずにいたら、ある記者がこう説明してくれた。

 最近まで、このエピソードは単に、一部の大物実業家がいかに批判に敏感かを示す例だと思っていた(また、自分が早朝の頭髪ジョークにもっと気をつける必要があること示すサインだと考えていた――ミスター・トランプ、これについてはお詫びします)。

異様なまでの反撃

 しかし最近、あのささいなやり取りが、もっと不吉な底意を持ち始めている。というのは、トランプブームが勢いを増し続ける中、彼の選挙活動の最も目を引く特徴の1つは、批判的な人に対して彼が見せる異様なレベルの攻撃性だからだ。

 そして、これはトランプの気質のみならず、ソーシャルメディア時代の政治対話の性質に関しても大きな問題を投げかけている。